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Eminem『Revival』

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9th、2017年、アメリカ
ヒップ・ホップ

泣く子も黙るネームバリューを誇る「ラップ・ゴッド」Eminemが4年ぶりにドロップした新作。

ジャケットのアートワークを見ると、アメリカ国旗の向こう側にうつむくエミネム(スリム・シェイディ、マーシャル・マザーズ)が透けて見える。
そして実際このアルバムを聴いてみると、このジャケットの通りアメリカとエミネムが重なって見える。もしかしたら、俺こそがアメリカなのだという思いもあったのかもしれない。

この4年間、アメリカは激動の時代を経験した。ブラック・ライヴス・マター運動とトランプ大統領の誕生に代表されるような「苦しみ」を経験した。
一方エミネム自身も苦悩を重ねていた。それは1曲目の「Walk On Water」の初っ端で語られている。

Why are expectations so high? Is it the bar I set?
My arms, I stretch, but I can't reach
(なんでこれほどの期待をされているんだ?自分で設けたハードルなのか?)
(腕を伸ばしても、決して届かない)
世間からの過剰なまでの期待と、それに応えられないのではないかという自信の喪失。それがエミネムが抱えていた「苦しみ」。

しかしそんな「苦しみ」を乗り越え、堂々と復活(=「Revival」)を果たそうじゃないか、というエネルギーがこのアルバムには満ち溢れている。

BETアワードのフリースタイルのムードをそのまま引き継いだ「Untouchable」ではアメリカの歴史と黒人を差別してきた事実を白日の下に晒し、「Like Home」では現状に不満をまき散らしながらもここからいい方向に変わっていこうというポジティヴなメッセージを提示している。自らの間違いを自覚し、そこから立ち直っていこうという姿勢が見える。

パーソナルな側面でもこのアルバムは同じ姿勢をとっていて、「Believe In Me」では自分のスタイルを貫く意思を表明しファンに「まだ俺のことを信じてくれるか?」と問いかける。ここで早くも自信を取り戻したかのように見えるのだが、「Bad Husband」では元妻に対する謝罪の気持ちを赤裸々にラップしている。「Castle」では娘への気持ちを、続く最後の曲「Arose」では10年前の臨死体験から懺悔の気持ちを告白している。最後には死の淵から立ち直り、新しい一日を始める。
Now a new day is dawnin'
I'm up, Tuesday, it's mornin'—now I know
(今、新しい一日が始まる)
(俺は目覚めた、火曜日だ、朝だ。やっとわかった)

アメリカの再生と自己の再生。この二つのテーマが重なり、共鳴し、非常に力強い作品に仕上がっている。

しかし、このテーマとは関係のない曲も多く収録されているためアルバムは19曲77分という長さになってしまっていて、少し冗長な印象はぬぐえない。
もちろん彼のラップスキルはすさまじく、「こんなところで韻を踏んでくるのか!」というのが英語のネイティヴスピーカーでないぼくにも伝わってくるくらいすごいんだけど、やっぱり後半はお腹いっぱいになっちゃう。

あとトラックの弱さはもはや致命的で、19曲もあるのに「これは!」というかっこいいトラックが一つもないというは至極残念。
これは彼だけの責任じゃないのかもしれないけれど、もはや時代遅れじゃない?と思われるようなものもあったりして、げんなりしちゃいました。

最後はちょっと文句を書いたけれども、それでもやっぱりこの人めちゃくちゃかっこいいよ。まだまだリタイヤしないで踏ん張り続けてくれよ!
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