スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

磯部涼『ルポ 川崎』

kawasaki.jpg
サイゾー、305ページ

ここは、地獄か?
工業都市・川崎で中1殺害事件や簡易宿泊所火災、老人ホーム転落死といった凄惨な出来事が続いたのは、偶然ではないーー。
俊英の音楽ライター・磯部涼が、その街のラップからヤクザ、ドラッグ、売春、人種差別までドキュメントし、ニッポンの病巣をえぐる。
ラッパーをはじめ地元のアーティストが多数証言。(Amazon商品ページより)

去年の年末に出版され、一気に話題作となった一冊。
もともと音楽ライターとして『音楽が終わって、人生が始まる』(2011)や『踊ってはいけない国で、踊り続けるために ---風営法問題と社会の変え方』(2013)などの本を出版している方です。
本ブログでも大和田俊之・吉田雅史との共著『ラップは何を映しているのか』(2017)を取り上げています。

そんな彼が雑誌『サイゾー』上で連載していた神奈川県・川崎市についての取材記を単行本化したものがこの本。
様々な事件や社会問題で話題にことも多い川崎という土地を読み解こうとする試みが書き連ねられています。

お笑いコンビ・アルコ&ピースの酒井は川崎出身であり、相方の平子はラジオ番組内で酒井の地元のトークになると映画『マッドマックス』のような世界観を交えながら川崎のことをいじり、酒井がそれを否定するというのが毎回の定番になっています。
しかし、この本を読むと平子のいじりもあながち的外れではないような、そんな恐ろしさすら感じてしまうほど、この本は川崎のシビアな現状から決して目をそらさない。

しかし、彼が注目しているのは何とかそんな現状から抜け出そうと行動を起こしている人たちだ。
それはラッパーだったり、ダンサーだったり、反レイシズム団体だったりするのだが、彼らに共通しているのは「自分だけじゃなくて、自分が所属しているコミュニティ、ひいては川崎全体で上がっていこう」という信念があること。
この事実が非常に感動的。単なる「スラム・ツーリズム」じみた好奇心が出発地点じゃない彼だからこそ持ちえた視点ではないだろうか。

新年から非常に勇気がもらえる読書だった。
スポンサーサイト

Comment

Leave a Reply


管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。