Daniel Keyes "Flowers for Algernon"

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涙なしには読めない!感動必至


最近ドラマ化されて話題になっていたこの作品。
でも僕はこの本ずっと前から知っていて、ずっと長い間読みたいと思っていました。
実は僕が小学生の時、同級生が読んでいたのを覚えています。今考えるとすごいですね(もちろん日本語でしたよ)。

Twitterで友達が読んだといっていて、でも英語で読んだらもっと入り込めただろうな、みたいなことを呟いていて。
じゃあこの私が読んでやろうじゃないの、と思って購入したのがまず去年の秋口くらい。
そしてようやく読み始めたのが今年の6月くらいで、やっとのことで昨日読み終わりました。
単なる怠惰ですね。結局最後の4分の1くらい3日で読みましたからね。
英語の小説読んだのはJ.D. Salinger "The Catcher In The Rye"以来2冊目。まだまだ読むスピードは上がらないですね。

あらすじとしては、知的障害を持った30代男性Charlieが、あるきっかけで手術を受け、IQを人工的にあげることに成功。そしてそこからの苦悩や周りの人との交流を描いた作品。
この作品について調べていたらジャンルとして「SF」と書かれていて少し驚きました。というのも、人工的に知能を向上させることなんて現代社会ではそこまで奇想天外な事には思えませんからね。
しかしこれが書かれたのが1950年代だということを考えれば十分SF小説だと考えることができるし、同時にこのダニエル・キイスという作家の洞察力の良さというか、そこまで見抜いていたのかというところの凄みがわかります。

この作品の大きな特徴はこの小説自体がこの実験の被験者Charlie Gordonの"Progress Report(経過報告)"という形で最初から最後まで書かれているという点です。
したがってIQがまだ低い小説の序盤は彼のスペルミスや間違った句読法が小説にまんま反映されています。
これがまた読みにくいったらありゃしないんですがね。パッと見何の単語かわかんない!っていうね。"know"が"no"になっててもうこれは違う単語じゃないか!みたいなね。
これは日本語訳では漢字ではなくひらがなを使ったりしているらしいのですが、他の言語でもどのように訳されているのか興味が出てきました。
英語と日本語は実際に発音される音声と綴り字が異なる場合がよくありますが、世界的にみるとこういう言語は少ないので。

・・・なんて内容とあまり関係ないところのお話をしてしまいましたが、内容も素晴らしいものになっています。
まず、上記の通り「経過報告」という形としてCharlieの直筆(または肉声を書き起こしたもの)という語り口で語られるので、いかんせん主人公Charlieに対する感情移入がしやすいことこの上ないです。知能がまだ低いころの彼の世界のとらえ方(例:いたずらされてもそれを好意だと思って笑顔で接する、など)や、知能が上がってからの彼の世界のとらえ方(例:店で働く知的障碍者を見て同情を覚えるシーン、など)、そしてその違いに気づいて葛藤するところや、彼の感じる孤独が手に取るようにわかるのです。
これは小説だからこそ機能する方法であって、これを映画やドラマにするとこの魅力は半減してしまうのでは?とも感じました。

SF小説であるだけに未来に対する警句のようなものも感じますね。人工的に知能を向上させることの是非。
これっていまでは結構行われていることなんですかね?ちょっとよくわかりませんが(勉強不足ですいません)。
Charlieの次のセリフが一番心に来ました。拙訳で失礼します。

「知能は確かに人類に与えられた大切な贈り物だ。でも知識を追い求めて愛を探し求めることができないことが多々ある。(中略)愛情を与えたり受け取ったりする能力が欠けた状態で知能を得ても、精神的倫理的衰弱、ノイローゼ、最悪の場合精神に異常をきたすだけだ。」(原著249ページ)

またこれは途中からだんだんと匂わせられているので書いちゃいますが、終盤にかけて彼の知能がまた元に戻っていってしまうところの描写も読んでいてなんとも言えない気持ちになりますね。
彼の感じる葛藤や孤独はここで最高潮に達します。
読み進めるのが大変なくらいでした。
そして最後。思わず涙してしまいました。
読む人が皆Charlieを愛し、最後には涙を流せる。そんな小説ではないでしょうか。

★★★★★
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Theme: 書評 - Genre: 本・雑誌

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