Bullet For My Valentine / Venom

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5th、2015年、イギリス
ヘヴィメタル

紋切り型新世代メタル、ここに極まれり


アルバム「The Poison」で衝撃的なデビューを飾ったBullet For My Valentine。エモサウンドに伝統的なメタルの要素を加えた新鮮なサウンドで世界中の新人賞を総なめにした彼ら。
2nd「Scream Aim Fire」、3rd「Fever」と作品を重ねるごとにエモの要素は消え、次第に伝統的なメタルに接近。初期にようなスクリームを交えたメタルコアのようなサウンドは薄れていきました。
4th「Temper Temper」はついに伝統的なメタルサウンドすら少し薄れ、完全なるラウド・ロックへの接近を見せ、ファンからも賛否両論が巻き起こりました。
そこに来て発表されたこの5枚目、「Venom」。ローマ数字で5を表すVをあしらったアートワーク。
静かなインストの#1"V"から#2"No Way Out"へなだれ込み、スクリーム"NO WAY OOOOUUUUTTTTT!!!!"って始まる感じは1stの"Intro"~"Her Voice Resides"を彷彿とさせる流れになっていて、古くからのファンは待ってましたって感じです。

でもこのアルバム、どこ行っても「原点回帰!!」とか「これを待ってました!!」みたいな感想が多いんですが、僕はちょっとそうは思いませんでした。
確かに前作よりは全然メタルしてるとは思うんですが、まったく原点回帰はしてないような気がするんです。
#3"Army Of Noise"みたいなリフがむしろスラッシュ・メタル寄りで1stというよりか2nd寄り、みたいな曲が多いような。
ミディアムテンポの曲も3rdに収録されていてもおかしくないような曲だったり。
決して初期のチョーエモい雰囲気をこのアルバムに求めてはいけません。むしろ2nd、3rdの路線を突き詰めたアルバムだと思います。

それにしてもリフやメロディがいちいちパンチ不足なのも否めないと聴いていて感じました。
もちろんキャッチーだし、聴いていてかっこいいとは思うんですが、いかんせん1stや2nd(にもギリギリあった)聴いていてこちら側がハラハラしてしまうほどの危ないほどのかっこよさは残念ながらもはや微塵も感じられないように感じました。
もちろん1stや2ndを聴いていたころは僕もメタルにはまりたてで、しかも10代だったので感受性も豊かでした。だからそれから10年ほどたった今と感じ方が異なるというのも多少あるとは思いますが、それにしても即効性は失われていると感じました。

良くも悪くもマンネリしてるな、と感じました。
#2や#3のような疾走しつつサビではテンポを落としシンガロング出来るようなサビを用意している曲、そして#4"Worthless"や#5"You Want A Battle? (Here's A War)"のようにテンポ遅め重めのグルーヴででじっくりじっくり歌い上げる曲。
もうはっきり言ってこの2つに大別できます。
彼らが得意としている壮大なバラードのような曲は今回は#7"Venom"のみ。しかも名曲"Tears Don't Fall"ほどの展開の壮大さもなく、盛り上がり切れない中途半端なつくりと言わざるを得ません。
全体的に言えることですが、サビメロも弱いような気がしますし。
とにかく、こういう音楽に初めて触れるような人や、あるいはこういう音楽が死ぬほど大好きなんだ!みたいな人にはたまらない作品だとは思うのですが、「原点回帰」のフレーズに惑わされて買った初期からのファンはがっかりしてしまうような作品ではないでしょうか。

ギターソロが特にひどくて、ただひたすらにピロピロと16分音符を刻むだけ。何の工夫もなされていない。
これまでの作品ではいいソロを弾けていたギタリスト2人なだけに、わざとやっているのかもしれませんが、それにしても意図がわからん。

曲ごとにキャラが立ってたり、覚えやすかったりするという点では前作「Temper Temper」にさえ劣っていると言わざるを得ないかもしれません。#7以降はいちいち説明するのも面倒なくらい似た曲が続きます。なので割愛。


別にクオリティがそこまで低いわけではないというのがまたもやもやさせる点ですよね。
これで完全に駄作と言いきれればいいんですが、それなりにファンのツボをついた曲作り、「これで及第点でしょ」と言われているような気がしてますます煮え切らないのです。
「もっとできたんじゃないの?!」という怒りにも似た感情を抱いてしまいます。

少し前までは、このBFMVとAvenged SevenfoldTriviumを合わせて「新世代メタル期待の新人」とくくっていました。
それぞれが各々の個性をしっかり持っていたし、作品も素晴らしいものを作っていました。
が、気付けば彼らも5~6枚アルバムを出し、新人というよりは中堅と呼ばれる立場になってきました。
それにつれて彼らのアルバムも勢いを失い、なんか一つの流れのようなものに乗ってしまって似たり寄ったりなサウンドになってしまっているのがさみしいです。
今年はTriviumも新作を出すようなので、楽しみにしていますが、同時に少し怖いですね。

さて、メタルはどこへ向かうのか。

★★☆☆☆

#3"Army Of Noise"


#5"You Want A Battle? (Here's A War)"
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Theme: HR/HM - Genre: 音楽

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