フラッシュバック、夏。 / RHYMESTER

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7th、2011年、日本
ヒップ・ホップ

思い出の夏はいつもそこにある


RHYMESTERが2011年に発表した「夏」をテーマにしたミニアルバム。
この夏、個人的にかなりヘヴィ―ローテーションで聴いていた思い出の一枚。
この作品がリリースされたのは2011年。制作時期がちょうど震災や原発事故で揺れていた時期と重なったようで、本人たちも「果たして今年の夏は来るのか、音楽を聴いて楽しむような夏になるのか」と自問自答を重ねながらの制作だったようです。
なので直接的な夏の華やかさは描かずに、あえてその周辺を描いていくという手法にたどり着いたようで、他にはあまり見られないようなメッセージが込められたサマーソングたちになっていると思います。

#1"フラッシュバック、夏。"はタイトル通り輝かしいきらきらした夏の「思い出」を歌った曲。
宇多丸氏もインタビューで「この視点でのサマーソングを思いついたときは発明だと思った」と語る通り、完全に「思い出の中」を歌った一曲。
トラックはGAGLEのMITSU THE BEATSのプロデュース。
非常にRHYMESTERらしい、それでいて夏らしさにあふれた素晴らしいトラックです。インストも収録されているのですがそれ単体で聴けるレベルです。
思い出として夏を振り返る曲なので、夏真っ盛りに聴くよりは、夏の終わりのこの時期に聴くのもいいかもしれません。僕は夏の思い出を作ったその日の夜、寝る前に聴いていました。
2ndヴァースのMummy-Dがいいですね。花火大会の情景が見える。
最後の宇多丸の「きっとすべては最期の一瞬に見るという走馬灯の準備」というラインが印象的です。
そんな夏を今年も過ごせたと思うのでよかったです。

#2"サマー・アンセム"はMummy-Dプロデュースの曲。
CRAZY KEN BANDの小野瀬雅生(Gt.)をフューチャリングしたサーフロック調の「テケテケテケテケ」という小気味良いアップテンポなトラックに乗せて2人のMCがラップするんですが、これが最高にかっこいい!!
クールなMummy-Dと暑苦しさでゴリゴリ押す宇多丸の2人の魅力が凝縮された名曲だと思います。両者ともスキルをフルに活用したライミング・フローで最初聴いたときはニヤニヤしてしまいました。
「槍が降ろうが 闇が降ろうが 俺らから夏は奪えないぜ」という3.11後の日本に向けたポジティヴなメッセージも彼ららしさ。

#3"Magic Hour"はDJ JINプロデュースの曲。
フューチャリングされているのはさかいゆうというシンガー。透明感のある声がこのDJ JINプロデュースの美しいトラックにあっていて素晴らしいですね。
そしてトピックは「マジックアワー」。このトラックに実にあったトピックをばっちり選んでくるあたりさすが。夕暮れの景色が現前に浮かぶような素晴らしいトラックとサブジェクトの融合。
ストーリーテリングに徹したリリックも#2とは対照的でまた魅力的。こういう表現の振れ幅もキングオブステージならでは。

#4"into the night"は宇多丸プロデュースの曲。と言っても宇多丸はトラックメイキングはしないので矢野博康というプロデューサーとの共同制作。
とても夏らしい華やかなサウンドメイキングのなかで特にドラムの打ち込みが結構練られてるなぁ、カバーしたら楽しそうだなぁと思ったらCymbalsというバンド(すでに解散している)でドラムも叩いてる方でした。納得。
すごくかっこいいトラック!!
「夏の夜の街へ」がテーマ。夏の夜の飲み会前の特有の浮足立つ感じが絶妙に表現されていてすごくいいです。
(宇多丸)
     遅刻しそう タクシー移動しよう あー すでに超たのしー! ど、どうしよう
     バブルの気分だけいま継承 あの理想のサマー・ヴァケイション

(Mummy-D)
     オレも午後9時 誇大妄想 抱えて目指す都内某所
     まずは……何着てくか? さり気なさの中に季節感と
     清潔感醸し出したい。 でかつギンギラギンに目立ちたい。
     結果……ナゾのコーデ メトロ乗り継いで約束の場所へ

また最新曲「人間交差点」にも出てくる「みんな浮き足立つ巨大なスクランブル あと少しで信号も赤からブルー」というライムがこの曲で初出だったとは。本人はもちろん気付いてサンプリングしてるん・・・だよね?

#5"ザ・サウナ"は本編最後を飾る一曲。トラックはまたもMummy-D。
タイトル通りサウナについての歌です。こんなふざけた歌も彼らの手にかかればかっこよくなってしまうから不思議。
このおっさんパワーこそRHYMESTER最大の魅力ですよね。
こんなおじさんがこんな楽しそうなことをこんなにも全力でやってるっていう。最高にRHYMESTERらしい一曲でシメてくれました。

#6、#7は#1"フラッシュバック、夏。"のリミックス。
#6はm-floの☆TAKU TAKAHASHIによるリミックスで、ゴリゴリのビートでアップテンポチューンになってしまっているのが面白いです。
#7は日本のヒップホップの黎明期から活躍しているDJ PMXによるリミックス。原曲の雰囲気はそのままにトラックをリメイクしたこちらは正統派のリミックス。女性コーラスが足されているのですがそれもまた秀逸。

毎年夏聴きたくなるであろうアルバムですね。

★★★★☆
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Theme: HIPHOP,R&B,REGGAE - Genre: 音楽

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