筒井康隆『時をかける少女』

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角川文庫、238ページ

子供向けながら鋭い洞察


名前だけは知っていたのですが、筒井康隆の作品だと知って俄然興味がわいて読むことにしました。

彼の作品にしては珍しく(珍しいそうです)平易な言葉づかいで書かれていて、非常に読みやすいです。
でもあまりにも読みやすすぎてちょっといやっていう人もいるかもしれません。ひらがなも多いですし。

でもそれでも流石は筒井康隆、ところどころに鋭いSF的洞察が見え隠れしていて、子供向けで分かりやすい一方、そういった層のニーズにもしっかり答えています。

まずは表題作の「時をかける少女」。
物語的にはシンプルで、ふとしたきっかけでタイムトラベルができるようになった少女が、その真相を確かめるために過去に戻っていくという内容。オチも「ふむ」って感じで思ってたよりはフツーの内容で拍子抜け
何度も映画化されているので長編だと思って読み始めたのに、あっさり終わってしまいました。
でも先ほど述べたようにドキッとさせられるような鋭い描写もありました。時間を止めるロジックのところとか、僕が好きだったのは学校の理科の先生が言う以下のセリフ。
科学というものは、不確かなものを確実にしていかなければならないためのその過程の学問なんだ。だから、科学が発展していくためには、その前の段階として、つねに不確実な、ふしぎな現象がなければならない
明らかに子供向け小説にそぐわない文章ですよね

そしてお次は「悪夢の真相」。
これもお話は単純。たぶん一番単純。
自分のトラウマを思い出して、それを克服する話。
でもこれもたぶん精神分析とかの知識を基にして書かれていて、「頭いいんだろうな~」と思わせてくるあたりさすがでした。
でも正直面白くはなかったです
でも主人公の、この恐怖心にはすごい共感。
屋上などで、手すりごしに地上を見おろすことができないのである
そうなんですよ。手すりが壊れたりしないかみたいなのですごく怖いんですよ。僕も彼女と同じようなトラウマがあるのかしら・・・

最後は「果てしなき多元宇宙」。
これが一番SFチックでした。理屈の説明とかも読んでてワクワクしました。
並行世界・多元宇宙の説明が非常にわかりやすかった。
だが、また、歴史を持つ世界として、一本のタテの糸を考えた場合、時間というのは、そのタテ糸を、無数に横切っているヨコ糸――たくさんのヨコ糸と考えることもできる。
僕この多元宇宙の考えが結構好きなので、楽しんで読むことができました。

でもなんだかんだ言ってやっぱり少年少女向けなのかなって感じがしました。
これがきっかけでSFはまる人が多くなることを願います。

アニメ版の映画見たいなぁ。

★★★★★
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