アメリカン・スナイパー

americansniper.jpg 
2014年 
監督:クリント・イーストウッド 
出演:ブラッドリー・クーパー、シエナ・ミラー 

「伝説」「英雄」の裏側


これまた巷で評判が良かったものの見ずに終わってしまった作品。 
クリント・イーストウッドの作品の中でも「グラン・トリノ」、「硫黄島からの手紙」、「父親たちの星条旗」と戦争関連の映画を見てきていたので、この作品も見ないわけにはいかないだろうということで。 

また、最近見た「ローン・サバイバー」と同じSEALsが舞台ということで。 
しかも「ローン・サバイバー」の主人公と今作の主人公は実際に面識があったというから世界って素晴らしい。 

それにしてもこの映画、見終わった後に知ったんですがかなりいろんな論争が巻き起こったらしいですね。 
なかでも目立ったのが「戦争賛美だ」という批判なんだとか。 

・・・え? 

はっきり言って、何のバイアスのない状態で見た僕からすると、非常にナンセンスで的を得ていない感想ではないかと。 

確かにこの作品は「伝説」「英雄」と言われた一人のスナイパーを描いてはいますが、決して彼を称賛するような作品にはなっていないと思うんですよね。 
むしろ、そのように世間から賞賛された彼を通じて戦争が兵士の心に与える心の傷というものを描いている(書いていて明白すぎていやになっていしまいますが)という風にしか見れないと思うのですが。 
しかもこれ以前の上にあげた3作品を見ていればさらにそれは火を見るよりも明らかで、どういう見方をすればそうなるんだ??と疑問を持たずにはいられませんでした。 

戦争賛美映画だったら絶対に入ってこない描写が随所に見られます。 
イラク人のことを「野蛮人」だと呼んで憚らない主人公、戦場で命を落とした戦友を「戦う意欲を失ったからだ」と言って切り捨てる場面、そしてスナイパー同士の勝負にこだわった結果自分の周りをピンチに追い込んでしまった場面。 
戦争を賛美するのが目的であったらなら、こういう「批判のスキ」を与えず、ひたすら戦場でのかっこいい姿を切り取って、「正義の味方」というイメージを押し付けようとするでしょう。 
それをあえて映すことによって戦争に対して我々が感じる「あれ?」という感情を引き出しているのだと思います。 

一番の争点は最後の彼の葬儀のシーンだと思うのですが、僕はこれに関しては宇多丸氏の解釈が一番ではないかと思います。 
つまり、あの一連の映像は「ヒーローとしての彼」を賛美するのではなく、「ヒーローというイメージだけが残ってしまった」という悲哀を表現していると。 

なので、この映画は明らかに戦争万歳!という映画ではないということで。 
全くどこのバカだこれを言い出したのは。 

しかし80代になってもこれほど素晴らしい作品を作るクリント・イーストウッドってすげーなおい。

★★★★☆



スポンサーサイト
Theme: 映画レビュー - Genre: 映画

Comment

Leave a Reply


管理者にだけ表示を許可する