野島一人 『メタルギア ソリッド サブスタンスII マンハッタン』

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角川文庫、571ページ

巨大な陰謀論


前作「シャドー・モセス」に続いて読んじゃいました。
いや~面白い。

今作の原作は2001年に発売された「メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティ」というゲームソフト。

前作でも言いましたが、ゲームにはもったいないくらいの完成度の高いストーリーです
「もったいない」という言葉もおかしいですけどね。
このノベライズを読んだ後、実際のゲームの動画も見たのですが、何とストーリーと関係のある所だけを繋げても6時間

ですから、最初から映画化なんて無理ですね。このまま映画にしたら省略される部分が多すぎます。
このようにゲームにするか小説にするかしか選択肢がないくらいのボリュームのアイデアですね。

それにしても今作はシリーズの中でも一番を誇るくらい(らしいです)の複雑さを誇るストーリーで、特に超ド級のどんでん返しが繰り返される後半、話についていくのが結構大変だったりしました。
後半は丸々2回読みましたし。

しかし、この「愛国者たち」という概念は僕みたいな都市伝説好き、陰謀論好きにはたまりませんね。
しかも彼らの正義も完全な荒唐無稽なものと言い切れるものでは決してなくて、思わず「う~む」とうなってしまうものでした。
それは例えば引用するとこのようなもの。

きみたちが自由を行使した、これが結果だ。争いを避け、傷つかないようにお互いをかばいあうための詭弁、政治的正しさや、価値相対化というキレイゴトの名のもとに、それぞれの真実がただ蓄積されていく。衝突を怖れて、それぞれのコミュニティーにひきこもり、ぬるま湯の中で適当に甘やかしあいながら、好みの真実を垂れ流す。かみ合わないのにぶつからない真実の数々。誰も否定されないがゆえに、誰も正しくない。ここでは淘汰も起こらない。世界は真実で飽和する。

だから、彼らは彼らが「真実」の取捨選択を我々に代わって行い、コンテクストを生成してあげようというのですが、思わず「なるほどね」と思ってしまいました。

それに対してスネークが言っていたこともこれまたかっこいい。
このゲーム、きわめて名言が多いですね

「俺たちが伝えるのは、信じるもの、俺たちが信じたもの。大切だと思えることだ。正しいかどうかではない、正しいと信じる、その想いこそが未来を創る。」

しびれますね。

そしてまたゲーム版から小説化するにあたって様々な仕掛けがなされているのですが、特にエピローグとかの終わらせ方とか、「ああこここういう入れ子構造になってるのか!」という点とか含め、やっぱこの人巧いなぁと思いました。

早く次も読も~っと。

★★★★☆
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