捨て曲なし、この言葉が当てはまるアルバムってそうそうないんですけど、このアルバムはまさに捨て曲なしではないかと。#1"Take A Bow"からボーナストラックの#12"Glorious"まで、全部の曲がキャラ立ってるし、アルバムの中でそれぞれの役割を果たしているし、聴き終わるころには一本の映画を見たかのような(これもよくつかわれる比喩ですが本当にあてはまる作品は多くない)感覚に陥ってしまいます。 この作品をMuseの最高傑作に挙げる人が多いですが、確かにそうかもしれません。
とにかく壮大なオープニングタイトル#1"Take A Bow"に続くのが屈指の名曲#2"Starlight"。 バリバリに歪んだベース、それに乗っかるきれいなピアノのリフ。繰り返しを多用したメロディライン、そして徐々にクライマックスへと向かっていく巧妙な展開。Museかくあるべしといった最高級品です。
続く#3"Supermassive Black Hole"はMarilyn Mansonとかを思わせるひたすらダークで鬱屈で閉塞感たっぷりで毒気満点の素晴らしい世界観が本当に病みつきになります。打ち込みを多用したリズムにひずんだギター、マシューのファルセットボイス、立ち込める暗雲のようなコーラスワーク。どこを切り取っても厨二感しかない曲なのですが、それが最高。
そして困ったことに続く#4"Map Of The Problematique"も名曲。これぞスペース・ロックという音の広がりはさすがです。緊迫感張り詰めるギターリフが全編にわたってず~っとなっていて、目の前に宇宙なり草原なり東京ドームなり、とにかく広い光景が浮かびます。
そして本編最後の3曲は狙ったのか似た要素がある気がします。ちょっと南米チックというか、西部劇テイストと言いますか(全然違うな)、水分少なめな感じが。まさにこのジャケットのイメージ通りです。 #9"City Of Delusion"ではトランペットがソロを吹き、#10"Hoodoo"ではイントロでフラメンコギターがかき鳴らされます。 そして本編最後の#11"Knights Of Cydonia"。まずはPVを見て判断してもらいましょう。