Get Scared / Everyone's Out To Get Me

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2nd、2013年、アメリカ
ポスト・ハードコア / ゴシック・ロック

「鬱」をいったん通り越した「躁」の世界


昨年リリースしたニューアルバム「Demons」が見事「ベスト オブ 聴いた音楽 2015 ~新譜編~」で10位にランクインしたことも記憶に新しい(誰のだ)このバンド。
そんな彼らが2013年にリリースした2枚目のオリジナルアルバムがこれだ。

「Demons」のレビューにも書いたが、あの新作はこの2枚目に比べるとだいぶヘヴィな方向に舵を切った意欲作だった。
結果としてそれがポスト・ハードコアというジャンルのかっこよさを際立たせることに成功していて、個人的には大満足だったのだが。

そして今回この作品を改めて聴くと、このメロディアス路線もこれはこれでものすごくかっこいい。
ボーカルのNicholas Matthewsがスクリームしている部分なんてほとんどなくて、ほとんどその激甘激エモボイスでメロディを歌い上げているのだが、これがたまらなくかっこいいのだ。
お前ははっきりしないやつだ、どっちの路線がかっこいいかさっさと言えという人がいるかもしれないが、これだけは本当に結論が出ない問いだ。
バンドとしては理想的な路線変更の仕方ではないだろうか。どっちもサイコーなのだから。

このアルバムが近所のTOWER RECORDSに置かれていた時、ポップにはマイケミ好きにオススメ!」と書かれていた。
それを見た僕はホイホイと試聴機で聴いて、ホイホイとそのままレジに持って行った。
この「マイケミっぽさ」こそがこのアルバムの魅力であり、3rdでは失われた部分だ。

なにがマイケミっぽいかというと、と説明するのはこの後にして、まずは2曲ばかり聴いていただきたい。
そうすればまずは「なるほど」と納得していただけるだろう。

#2"For You"


#4"Badly Broken"


どうだろうか。非常にそれっぽいのがお分かりいただけただろうか。
そう、「Three Cheers For Sweet Revenge」の頃のマイケミっぽさがすごくあるのだよ!ね、あるよね?ありますよね?
この2バンド、というより2つのアルバムは実にメロディの雰囲気が似通っている。
間違いなくダークなんだけれど、メロディや曲の雰囲気がやけに明るかったり、明るくふるまっているように聞こえるのだ。
本当に絶望のどん底にまで落ちた人間が、そこから底抜けの躁状態に突入したかのような、取りつかれたかのような明るさだ。
「もうどうでもいいや!どうなってもいいや!ハハハハハハハハハハハハハ!!」のように笑いだす狂人のようだ。
この「精神崩壊型ハッピー音楽」こそがこの2枚のアルバムの魅力なのだ。(というかゴシック・ロックの魅力?ちょっと詳しくないのでわからない。1stを聴けばわかるかもしれない。)
まさに"Badly Broken"であり"I'm Not Okay"なのである。
僕はこの2枚を並べてどっちが優れているなどというつもりはない。
片方が好きな人はもう片方も聴いてみてほしい、そういうことだ。

このアルバムにはそういうメロディがたらふく詰まっている。
最初から最後まで。徹頭徹尾。特にサビは全曲満点だ。
だからこれが大好物な人はここで読むのをやめてもらって構わない。
今すぐCDショップあるいはTSUTAYAにGOだ。iTunesやApple Musicに飛んでもいい。

そして、ここからは少し小声のお話。

歌メロが良いぶん、やっぱりギターのリフは少し弱いかなと。ここは最新作が全然勝っている。全然欠点だとは思わないけどね。
そして録音も全体的にモコっとしているというか、輪郭はこれまた最新作のほうが全然クリアである。全然欠点だとは思わないけどね。

はい、小声のお話終了。
この2点に関しては後から文句言われてもなにも返金とかしないから、ご自分の責任で。
でもほんと、こんな欠点といえない欠点なんてこの作品の良さの前ではちっぽけなものだ。

ここからは上記の2曲に加え、さらに僕的オススメの曲を何曲かご紹介したいと思う。

まずは#1"Told Ya So"。このアルバムの中では一番ヘヴィで、少し浮いて聴こえるくらいだが、だからこその1曲目なのだろう。
スクリームが多い分、サビの爽快でキャッチーなメロディが映える。最新作に入っていてもおかしくない曲だ。


#8"Us In Motion"はとにかく全編さわやか。
雪解けの時期、久しぶりに自転車に乗って快晴の下サイクリングするときとか聴きたい。雪国限定のシチュエーションだけど。


・・・やばい。この作品を今回じっくり聴いていたらどんどんはまってきてしまった。今日に限って言えばこっちのほうが好きかもしれない。
ポスト・ハードコア好きを自負するなら避けては通れない名盤だと僕は思う。

★★★★★
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