福沢諭吉 『学問のすゝめ』

gakumonnosusume.jpg
岩波文庫、206ページ

学ぼうぜ


やっと読み終えましたこの名著。
206ページと短いし、その上17の小編からなる冊子なのできちんと集中して読めば1日2日で読み終われる本なのだろうが、いかんせん集中力が持続しないもので、結局2週間ほどかけて読破。
文体も擬古文(擬漢文?)のようなもので非常に読み砕くのに苦労した。
くじけそうになったけど、「この本をこうやってゆっくり読めるのは学生の特権だ」と心に言い聞かせて何とか読み切ることに成功した。
結果的に読めてよかったし、非常に満足している。

先日のRage Against The Machine「Rage Against The Machine」で書いた通り、世の中には「アホ」が多い。
特に最近耳にするのが「反知性主義」という言葉。
あらゆる「知性」に「反」発する主義のことである。
そんなアホな話あるわけないだろ、と思う方もいるかもしれないが、事実そう思っている人はいるし、それはアメリカであのドナルド・トランプが支持を維持していることを見れば明らかである(もちろんほかの候補者が情けないというのもあるが)。
「反知性主義」といってもいろんな考え方があって、学ぶこと自体を否定するラディカルな立場をとっている人たちはむしろ少数派だと思う(そう信じたい)が、それでもそういうスタンスはやはりよくないと僕は思う。

そういう思いを胸に読み始めたこの本。そしたらあの有名な「天は人の上に人を造らず~」から始まる初編にやられました。
世紀の名文。
時間がない人はここだけでもいいから読むべきだ。青空文庫で無料で読めるし。
「お国のためなら命も」みたいな部分もあってちょっとクサいが、そこはちょっと目をつぶっていただきたい。

前半こそ国法の大切さなど政治哲学的な内容が中心だが、後半に行くにしたがって生活面での心構えを説く部分が増えてくる。
親子の関係、社交的であることの大切さ、などなど。
最後の17編は「人望論」と題して、人に頼られることの大切さを論じ、「容姿にも気を遣え」などと一見諭吉らしからぬことも書いてあるが、ちゃんと最後まで読めば納得。

本書はまだまだ開国したばかりで西洋の文明に追いつこうとしていた日本において、まだまだ志が低い学者や知識人、学生たちを啓蒙するために書かれた本であるため、比較的偉そうな口調で書いてある。
それでも嫌味がないのは、彼がきちんと読者を意識し、わかりやすいたとえを用いたり予想される反論をきちんと提示しながら話を進めてくれているからである。

間違いなく多くの学生に今でも読まれるべき本であるのだが、いかんせんこの文体は読みにくい。
そう思って調べてみたらちくま新書で現代語訳が出ているので、そっちを読むのもいいかもしれない。

まだ遅いということはない。今すぐ手に取るべき日本の名著。
読んだあとには猛烈に自省し、「自分なんてまだまだ」と思わせてくれる本である。

★★★★★
スポンサーサイト

Comment

Leave a Reply


管理者にだけ表示を許可する