鑑定士と顔のない依頼人

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2013年
監督: ジュゼッペ・トルナトーレ (「ニュー・シネマ・パラダイス」)
出演: ジェフリー・ラッシュ、ジム・スタージェス、シルヴィア・フークス、ドナルド・サザーランド

まっさらな状態で見てほしい映画


この映画のレビュー、どう書こうか悩んだ。
なぜなら、なんの前情報もなくこの作品を見ることができた自分はなんてラッキーなんだろう、と鑑賞後に思ってしまったからだ。
だから、まだこの映画を見ていない人で、これから見ようと決めている人やもうDVDを借りてきてあって、あと見るだけっていう人は読まないほうがいい。
でもそんな人はわざわざこんな記事を開かないわけで。

つまり、この記事を読むであろう人は「この映画を見た人」と「この映画を見たことがなくて、まだ全然見ようかどうか決めていない人」の二種類になるわけだ。
ああ難しい。
でも言ってしまおう、この映画をまだ見てない人は、この記事を読んでしまえば(たとえそれがネタバレの部分でなくても)この映画の面白みは半減してしまうと。
だから願わくば帰ったほうがいい。で、見てから読むのがいいかも。
でもネタバレは最後までしないようにしてるから最悪読んでもいいけどね。

<こんな話だよ!>
高名で高齢な美術品の鑑定士が今回依頼を受けた相手。彼女は、決して顔を見せてくれない。そんな彼女にひかれ始める彼・・・



では、ネタバレではないですが、見た感想をば。
ミステリ作品には他人に勧めにくいという性質があるが、特に「叙述トリック」系の作品と「全然ミステリと思わせないでいて実はミステリだった」系の作品はその極みだ。
言ってしまえば、この作品は後者だ。
「衝撃の結末」を売りにしたプロモーションからも、あまりそれを隠そうとはしていないから、まあ別にそこは知ったうえで見るのもいいのだろう。
でも約束しよう、それを知らずに見たほうがもっと楽しめると。
僕はただ単にiTunesストアで「今週のオススメ」として100円でレンタルされていたので借りてみただけ。そのときあらすじには目を通さない。だから毎週このコーナーの作品はまっさらな状態で見ることができて楽しい。

だから僕は見始めてずっとこの鑑定士と依頼人の恋愛物語だと思ってみていた。
それでも最初は面白い。
でもその恋愛はつまらないくらいうまく進んでいく。
そしてあっけなくその恋物語は結末を迎えてしまうのだ。

当然、見ているこっち側としては納得しない。
「このまま終わらせねえぞ」となってくるわけだ。
そこに来てミステリ的要素が「こんにちは」と顔を出すわけだ。
今まで全然そいついなかったのに。なんかいきなり入ってくるわけよ。でもこっちはそれまで見てたやつがあんまりおもしろくないやつだったわけだから、喜んでそいつを迎え入れる。
そしていったんそいつがストーリーに入ってくると「あれ?そういえばアイツ」とか「あれ、もしかして・・・?」という知らず知らずのうちに張り巡らされていた伏線に気が付いて、そしてそれでも頭が追い付かないうちにそのミステリ部分も結末を迎え、映画が終わる。
当然「衝撃の結末」なのであり、「もう一度見たい!」となるわけだ。

僕が最初から言っている「何も知らないで見たほうがいい映画」の意味がお分かりいただけただろうか。
この「ミステリ的要素」が後から来るのを知っているか知らないかだと(たぶんだけど)だいぶ楽しみ方に差が出てくると思う
最初からいろんなこと疑ってしまいそうだし。

でも「あ、そういえば・・・」的な伏線の張り方は見事。
「まさかこのまま終わんねぇよなぁ?」と思ったということはそういうものがちゃんと機能していたからだと思うので。

あとキャスト陣もなかなか良かった。
英語学習者からするとイギリス英語特有の「privilege of」とか「I'm wondering if」みたいな言い回しがたくさん聞けたのでおもしろかった。
特に電話口で激怒するシーンでもそういう言い回しを多用していて、「さすがは英国紳士!」って思った。アメリカ映画だったらFワードで怒鳴り散らすだけだもんね。

てなわけで、まだ見てない人で、ここまで読んでしまった人にはあまりオススメしないけれど、そういう人は周りの人に勧めてあげて。こんな風に。
「この映画面白いらしいよ」
「どういう内容?」
「いや、それは教えない」
「なんじゃそれ、見たんでしょ?」
「いや、見てない」
「は?いいよ借りない借りない」

・・・映画を勧めるのって難しいな。

★★★☆☆+α

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Theme: 映画レビュー - Genre: 映画

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