【グラミー賞を聴いてみよう Vol.1】 Taylor Swift / 1989

1989.png
5th、2014年、アメリカ
ポップ

ここまで昇華できればくだらない恋愛も浮かばれる


始まりました、「グラミー賞を聴いてみよう」のコーナー。
コーナーの趣旨は簡単。グラミー賞を受賞した作品を聴いて行ってみようというコーナーだ。
聴く対象は一応主要4部門を実際に受賞した作品を中心に、ということにする。

まず、なんでこんなコーナーを始めたのかをちょっと。
もともとロック・メタルから入ったリスナーである僕はその辺の系譜は一通り追ったが、いかんせん洋・邦問わずポップ音楽にきわめて疎い
この偏りをずっと何とかしたいなあとは思っていたのだが、いかんせんどこから手を付けていいかわからない。
メタルの名盤ですらまだまだ聴いていないものがあるのに、それ以外のジャンルなんてその何倍あんのよっつー話。
下手に自分で調べて聴いて駄作を引いてしまうのもいやだ。もともと聞きなれないジャンルだし、ちゃんと良作を堅実に聴いていきたい。
そこで、「グラミー賞を受賞した作品なら最低限品質は保証されてるんじゃね?」という短絡的な発想でこのコーナーの構想が浮かんできた。
ジャンルに制限がない主要4部門なら偏りなくいろんな優秀な作品を聴けるとも思った。
これと同じような感じで邦楽の良作も聴いていきたいんだけど、それこそ何を参考にすればいいのかわからない。レコ大?まさかね。ディスクガイドみたいなものがあればいいのだけれど。
何かおすすめ方法があればコメントください。

映画だと「アカデミー賞を見てみよう」、本だと「芥川賞・直木賞を読んでみよう」というのもアリかもしれない。果てしないけど。
まだまだ自分の好みがわからない、未知のジャンルに挑戦するときはこういう賞レースが役に立つ。

というわけで!記念すべき第一回は最新の第58回グラミー賞で見事「最優秀アルバム賞」を受賞したこの作品。
自身2度目の受賞となり、女性では初の複数回受賞だそうで。
他にも多くの部門にノミネートされ、「最優秀ポップ・ヴォーカル・アルバム賞」と「最優秀短編ミュージック・ビデオ賞」を受賞している。

僕でも知っているこのアーティストの情報は、
・カントリー歌手としてデビューした
・でももうカントリーは捨てた
・僕の苦手なキラキラ系女子からの熱烈な支持
こんなもん。
特に3つ目はすげえ感じる。身近なバカそうなキラキラキャピキャピ系女子に聞けばほぼ100%の確率で「テイラー好き~」というだろう。「テイラー」とファーストネームで呼ぶのがポイントだ。

もちろんそんなアーティストを今まで聴いたことがあるわけもなく、初めての「テイラー」作品だ。
"Shake It Off"は一時期死ぬほどはやっていたから聴いたことはあったが、アルバムを通して聴くのは初。
最初は「ちゃんと良いと思えるだろうか」「途中で投げ出しやしないか」と自分に自信がなかったけれど、聴き始めたらそんな心配は吹き飛んだ。
曲、いいやんけ。
「80年代のポップサウンドに影響を受けて~」とか難しいことはよくわからない。それを学ぶためのこのコーナーなんだから。
とりあえず曲がめちゃくちゃいいのだ。これが評価されるのはすげぇわかる。
想像してた「キラキラの押し売り」という代物ではなくて安心した。こういうちょっと湿り気のあるものが流行ってるんですか?わかんなぃょ><
とにかく、だ。サウンド面についてはいうことはない。
彼女の作るメロディと、一流のプロデューサーが手掛けるアレンジが最高峰のサウンドを作り上げた、そういうことだ。

ただ、問題は歌詞。
最後まで「最優秀アルバム賞」を争ったKendrick Lamarの「To Pimp A Butterfly」と比べればその差は歴然
「To Pimp A Butterfly」の歌詞を自分なりに解釈し飲み込むまでには何度も歌詞を読み返し、アルバム聴き返す必要があった。
それに対して、このアルバムは一度読んでしまえば「もういいや」となってしまう。よく言えばシンプルということだが。
もちろん僕程度の英語力しか持たない人間が何を言う、という話なのだが、この2つがサウンド的には互角だとしても、歌詞の面ではKendrickがやっぱり全然上手でしょうが、とは思う。
もちろんKendrickのアルバムで取り上げられている「黒人問題」よりもこのアルバムで取り上げられている薄っぺらくてありがちで安っぽくてくだらなくてどうでもよくてくだらなくてステキな恋愛のほうが心に来る!しみる!という人もいるだろうが、僕個人としてはやっぱり「To Pimp A Butterfly」のほうが総合的には最優秀アルバムなのでは、とかブツクサ言いたくなる。

キラキラ系女子―正式名称を「ありとあらゆるSNSを駆使してこういう自分の恋愛を発信していく型女子」いう―に人気があるのもうなずける。
でもそういう人たちと違って、そういう恋愛をここまで極上のポップ・アルバムに消化できている分彼女は幸福だと思う。
いちいちこの問題に言及するのもサムい風潮があるが、ベッキーとゲスの極み乙女。の川谷の不倫疑惑でベッキーの方ばかり叩かれるのもそういうことではないか。
川谷はゲス極やindigo la endで(そうとは言わずにだが)そういう恋愛を音楽に昇華できていたのに対して、ベッキーはよくわからないCDを出して、ブログやツイッターで「元気の押し売り」ばかりしていたのだから。

話は飛んだが、要するにここまで歌詞がアレでもすごい曲が良ければそれはそれでいいじゃないか、ということだ。
すぐに「いかにも」な短髪で細マッチョのいけ好かないイケメンが出てきて、そいつに一目ぼれしたり、楽しいデートをしたり、いい頃合いを見計らって喧嘩したり、そのあと泣いてみたり、別れてみたりする虫唾が走るようなMVでもいいじゃないか、ってこと。
でも僕みたいなひねくれた人間はそういうところきちんと減点しちゃいますよ、ってこと。
でもどんな感情でも、突き詰めて突き詰めて極めて、それを音楽やそのほかの芸術で昇華できてるって強いと思うんだ。
たまたまこれは僕が共感できないだけで。

最後にそういうMVを2つばかり貼っておきます。終わり方以外ほとんど同じプロットで笑った。
この人ってかわいいの?わかんなくなってくる。
"Blank Space"


"Wildest Dreams"


記念すべき第1回、無事終了。次はどれを聴こうかな?

★★★★☆+α
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