ブルージャスミン

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2013年
監督: ウディ・アレン
出演: ケイト・ブランシェット、アレック・ボールドウィン、ボビー・カナヴェイル、サリー・ホーキンス、ピーター・サースガードほか

ほんと女は怖い。というか人間怖い。


アカデミー賞が発表になりました。
僕が見た映画では「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(2015)が編集賞や美術賞などチマチマした部門最多となる6部門を受賞しています。うれしいなぁ。
主要部門はまだ日本で公開すらされていないものばかりで全然ぴんときてませんが、とりあえずディカプリオおめでとう。今度「タイタニック」見るよー。

さて、そんな第88回アカデミー賞、現在日本でも公開されている「キャロル」も主演女優賞をはじめとして多くの部門にノミネートされていましたが、結局受賞はならず。
やっぱりLGBHモノや黒人には厳しいアカデミー賞の保守的な体質が浮き上がっているといいたくなりますね。

でも、そんな主演女優賞を逃したケイト・ブランシェットですが、この映画で2013年の主演女優賞をちゃっかりもらってます。
これまで4回ノミネートされてます。すごい女優さんなんだね!(無知)

そんなこんなで別にアカデミー賞を意識して見たわけじゃないけれど、たまたまこういうタイミングで見れてよかったと思います。

<こんな話だよ!>
元セレブの女の転落人生。彼女はどこまで落ちるのか・・・?



ほんとに、ケイト・ブランシェットの演技がすごい映画でした。
少し精神的にも病んでしまっている役柄なのですが、そんな彼女の焦燥感がセリフのしゃべり方から身のこなし、メイクの乱れ、しぐさまでありとあらゆる方法を使って表現しています。
女優魂をひたすらに感じる演技でした。あっぱれ!!
まずはこれを褒めなければいけない映画です。

そして内容。
セレブが転落していって・・・みたいなあらすじからは、「そこから立ち直って新しい人生を見つける」だとか、「小さな幸せに気付いた」だとか、何らかの変化を主人公に期待してしまいますが、この映画ではそれが一切ない。
この映画でのケイト・ブランシェットは、徹頭徹尾、「見栄っ張りで庶民を見下している愚かな女性」を演じているのです。

ここまで馬鹿な女が出てくると、極めて不快な映画にもなりかねないのですが、なぜか不快さは一切感じない。
なぜなのかは結局今でもはっきりとわからないのですが、いくつか思い当たる理由があります。

①「愚かっぷり」がハンパじゃない
何事も中途半端なものは気持ち悪いし、突き抜けていると逆に気持ちがいい。
この主人公が見る側を不快にさせないのはこの点。
もーね、ぜんっぜんブレない。
これが途中で中途半端に心入れ替えてみたりしてみ、「お前のこれまでの罪はそんなんじゃ償えねぇからぁ!!」と怒りがムカムカとわいてきたことでしょう。
彼女が徹底的な「悪役」であることによって、われわれは心ゆくまで彼女の転落をあざ笑うことができるのです。

②周りの人間もたいがいだ
彼女のような「バカモン」が、周りにいる善良な人々を傷つけていく、それが考えうる最悪のシナリオです。
でも、この主人公の周りにいる人々も、決して「まっとうな」人間ではない点がミソ。
一見常識人に見える妹のジンジャー(どこかで見たことあると思ったら「わたしを離さないで」(2010)の新任教師役でした。かわいい。)だって、結局は目の前の現実に甘んじているだけ。
途中で主人公が出会う政治家志望のエリートだって、なんだか軽薄そうな印象。だから主人公にウソをつかれ通していたって心は痛まない。
そのほかいちいち挙げていたらキリがありませんが、とにかくこの馬鹿な主人公に傷つけられても構わないような(失礼)奴らばっかしなんです!

これらの絶妙なバランス感覚の上でこの映画は何とか成立しています。
でもだからこそ見る側は彼女のとにかく悲惨な人生、そして人間の恐ろしいまでの執念・本性・どす黒い側面を「怖いもの見たさ」で見続けることができるのです。
決して彼女を美化することなく、それでいて見るものを不快にさせない演出が見事でした。

そしてこの映画、方々で「欲望という名の電車」(1951)と比較されていました。
1年ほど前に授業で見た映画だったのに、しかもあの映画ととことん酷似しているのに、見ているときにいっっっっさいあの映画のことを思い出さなかった自分に失望しました。笑
そういう連想力がまだまだついてないんすよね。残念。

いやー、なんだかすごいものを見た、という感じです。すごい映画でした。

★★★★☆

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Theme: 映画レビュー - Genre: 映画

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