The 1975 / I Like It When You Sleep, For You Are So Beautiful Yet So Unaware Of It

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2nd、2016年、イギリス
ポップ / ポップ・ロック / オルタナティヴ・ロック

健康さのかけらもない「ど」がつくポップ


何事もやりすぎないのが体にいいと言います。
いくら体に良いとされている運動や小食といった習慣もやりすぎれば体を壊しますし、逆に悪癖と呼ばれる飲酒や怠惰も、適度にやれば精神的ひいては肉体的にも利益があると思っています。

そういう意味ではこのThe 1975というバンドは加減を知らない人たちだったのでしょう。
前作よりもポップになったサウンドは決して「健康的」とは形容しがたい、ものすごくいびつで奇妙なものに見えます。
前作ではモノトーンに統一されていたヴィジュアルも毒々しいピンクと白を使った完全なる別モノへと「生まれ変わった」(一時解散説も浮上しましたね)彼ら。
そのサウンドはひたすらポップに、ポップに、とひたすら貪欲に、半ば狂ったかのようにポップに、という道を突っ走ったように見えます。
その結果たどり着いたのが、この目がちかちかするような、とにかくポップに振り切った音像だったのでしょうか。
と、僕は感じました。僕の中での「ポップ」の定義がみなさんと違うかもしれませんが。

平たく言うと、このバンドは「進化した」ということになるのでしょうが、僕はこの変化を歓迎したいと思います。

前作よりもドラムはより後退し、ボーカルはより分厚くなり、ロック色はまったく薄れています。
本作の中でも僕が一番のハイライトだと思っている#13"The Sound"を聴けばそれは明白です。

前面に出たピアノサウンドのせいか、まるでtofubeatsの作り出すビートのような振り切ったポップサウンド。
様々なThe 1975へのアンチコメントをサブリミナル的に織り込んだMVに、彼らの自信を感じますね。
間違いなくこのアルバムを代表する一曲ですし、何なら今のところ2016年ベストチューンといってもいいくらい。
いや~、サイコーっすね。

で、この#13"The Sound"でも中盤でギターソロがギュインと入ってきたり、この#2"Love Me"でもそうなんですけど、ギターがやっぱりかっこいい!

この曲は非常に80's的な華やかさ、毒々しさを追い求めたロックチューンですが、その雰囲気を作り出しているのは間違いなくこのギター。これまた弾きまくっているソロ含め、まるで「俺たちはロックバンドだ」と主張しているかのように、でも決して「言い訳がましく」はない形でギターが活躍しているのも印象的でした。

前半の畳みかけがかなりいいですね。
上で紹介した#2"Love Me"にはじまり、細かなトラックメイキングが特徴的な純度100%のポップサウンド#3"UGH!"、ソフトなバラード#4"Change Of Heart"、デビューアルバムのサウンドに限りなく近い、みんなが知ってる「ザ・The 1975サウンド」を聴かせてくれる素晴らしい一曲#5"She's American"と、そしてロマンチックでムーディーなゴスペル調(?)#6"If I Believe You"。この5曲で名盤であることが確定。
ここまでの流れで完全に彼らのサウンドに屈服させられました。


この後の#7"Please Be Naked"、続く#8"Lostmyhead"はどちらもインストといっていいナンバーで、後者のシューゲイザー的サウンド感が印象的。
この2曲に加えてタイトル曲#12"I Like It When You Sleep, For You Are So Beautiful Yet So Unaware Of It"もほぼインストナンバーなのですが、この曲(だけに限った話ではないけど)とにかく電子音の使い方がうまいと感じました。この曲はUnderworldを思い出させるエレクトロニカサウンド。素晴らしいの一言です。
ここまで「大胆に」それでいて「上品に」電子音を使いこなすバンドは今のシーンになかなかいないのではないでしょうか。

でも、正直17曲74分というのは長いかな。
後半どうしても集中力が続かない部分もあったし。
もちろん後半も#13"The Sound"をはじめとしていい曲が多いんだけれど、それに気づくためにはいったん前半で再生を止め、改めて後半を単独で聴きなおす必要がありました。

でも総じてデビューアルバムに負けず劣らずの素晴らしい作品だと思いました。

とにかく、これがまだ2枚目ということに驚かずにいられません。
まだまだ若い彼らは、ここからどこへでも進んでいけるんだなという末恐ろしさ、そして希望が満ち溢れていると感じました。
これからもまだまだ彼らの音楽の探求は止まらないと信じてやみません。早くも次が楽しみなバンドです。

★★★★★
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