KEN THE 390 / 真っ向勝負

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8th、2016年、日本
ヒップ・ホップ
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Jラップ界の「うたのおにいさん」


めちゃくちゃ失礼ですが、彼のイメージはこれ。「Jラップ界の『うたのおにいさん』」。
とにかく柔和で「好青年」なルックス。
声も柔和だし聴きとりやすい。NHKみたい。
そして積極的に若手を自分の曲にフューチャリングしていく感じがいかにも「おにいさん」って感じがするんですよね。
事実このアルバムでも10曲中9曲は客演を迎え入れた曲となっています。

でもなあ…。個人的には彼は客演のラッパーたちに食われちゃってるイメージが強い。特に前のアルバム「#7」(2014)に収録されていた"Shock"がその極み。なんたってSKY-HIKREVAにMummy-D(RHYMESTER)ですからね。

確かに豪華メンバーを集められる人望は大したものだし、シーンの活性化のためにはこういう人が必要なんだけど、ラッパーとしてどうなのか、と言われるとどうも。
彼は韻も堅いし(でも「今更これで踏む?」みたいな使い古された韻もたまに何食わぬ顔で使うからびっくりする)、テクニカルなフローもできるんですけど、個人的にはあまり好きではないタイプなんですよね。
あまりにも「毒がない」というか、ほんとコンピューターみたいなラップをする人ですよね。
あまり感情もラップに載せないタイプですし。
わかりやすく言うと、歌詞カード見ただけで想像できちゃうラップなんですよね。
こういう「無感情・無個性」がこの人のキャラと言ってしまえばそれまでなんですが、僕個人的にはそこがちょっと・・・って感じです。
そこの壁を超える気が彼自身にあるとも思えませんし。

しかし、今や人気番組となった「フリースタイルダンジョン」で審査員を務める彼がこのタイミングで作品を出すことには一定の意味があると思います。

そんなこのアルバムを象徴するのが#1"真っ向勝負"
客演陣は、MC☆ニガリ a.k.a. 赤い稲妻KOPERUCHICO CARLITO晋平太
全員「フリースタイルダンジョン」出演組で固めたのは絶対に意図的だし、事実僕もこの曲のメンツには拍手喝采でした。

5人のマイクリレー、しかも各々のパートもそれなりに長いということで結果的に5分43秒という長い曲になっていますが、非常に個性的なメンバーが集まったのもあって全然長さを感じませんね。
でもやっぱり曲が終わるころにはKEN THE 390のパートのことなんて忘れちゃってるんですよね。
後半の二人、CHICO CARLITOと晋平太が結局持ってってます。
「フリースタイルダンジョン」での活躍、Libra UMB 2015での優勝で一気にスターダムへの階段を上り始めた彼。

"2016 バロンドール 最有力候補 マイクロフォン担当"


というラインが何よりも輝いて見えます。これからの彼に期待!音源が待ち遠しい。
晋平太も語尾をずっとそろえたビシッとしたライムで最後を締めてくれています。

2階建ての家には 理解ある嫁と 庭には外車が2台ある


という半ば親父ギャグ的なライムも彼ならでは。本当に外車2台なかったらぶっ飛ばすけどね。笑
もちろん前半の3人が悪いわけじゃないんですけど、やっぱりこの二人が入ったことでこの曲の重厚感が一気に増してますね。

あと印象的だったのがLick-Gとの共演で聴かせる#5"Nobody Knows"

KEN THE 390の6連で刻んでいくすごいテクニカルなフロウには感心せざるを得ません。
ここまで徹底されるとそれなりにすごみはあるんですよね。
Lick-Gも高校生ラップ選手権の時から抜きんでていたワードセンスとハイセンスなフロウを聴かせてくれます。ニガリがリベンジャーとして登場した今、彼にももう一回ダンジョンに出てほしいですけどねぇ。

もう1曲挙げるとすれば#9"How We Do"。
正直客演の3人は一人も知らないのですが、心地よいテンポ感とアダルト感のトラックがとにかくいい。
それに気持ちよくラップを乗せてる4人もなかなか良いです。

あとは正直・・・ビミョーでした。
やっぱり彼のキャラの希薄さからにじみ出るメッセージ性の希薄さ、そしてフックの弱さ、その他もろもろの要素が絡み合って「曲が弱い」という結論に達してしまいます。
この「人畜無害なうたのおにいさん」という殻を打ち破ることができれば、そのスキルをフル活用してすごくかっこいいラップができると思うんですけど・・・素人が偉そうにすいません。

★★☆☆☆+α
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