漢 a.k.a. GAMI 『ヒップホップ・ドリーム』

ヒップホップ・ドリーム
河出書房新社、244ページ
Amazon(Kindle版あり)

こいつガチリアルだった


<こんな本だよ!>
新宿スタイルはリアルしか歌わねえ──
マイク1本で頂点を競う純粋なるヒップホップの精神とそれを裏切るシーンの凶暴で陰惨なる現実。ビーフや騙し合いが渦巻く世界でラッパーは何を夢見るのか?日本語ラップを牽引するカリスマによる自伝的「ヒップホップ哲学」の誕生!


最近漢 a.k.a. GAMI周辺が何かと騒がしい。(これを書いているのは2016年3月20日)
フリースタイルダンジョンでは調子をどんどん上げ、加藤沙里や田代まさしをフューチャリングした曲の発表、そしてLibraとの紛争・晋平太に対する「拙者は運転者」ディス、そして謎の骨折。
話題が尽きませんね。アルバムも鋭意製作中ということで楽しみにしています。

というわけで読んでみましたこの本。
GADORO戦で破り捨てられていた本です。(18:30~)

ERONEも言っていた通り、内容は面白いので破り捨てないでくださいね。

僕はまだ日本語ラップにはまって約2年の甘ちゃんです。MSCも漢も曲を聴いたことはあまりまりません。
でも僕がこの本を読んでみようと思ったのはこのMC漢という一人のラッパーの生きざまに興味を持ったからです。
「フリースタイルダンジョン」内でもたまにコンプラがかかってるし、曲の内容も「本場」アメリカのラッパーみたいなハスリングやギャングスタな内容。それでいて「リアル」を追求する「新宿スタイル」を標榜している。
ということは彼がラップしたり発言していることはすべてリアルなのか?興味は尽きず、この本を読んでみようと思いました。
・・・そしたら全部リアルでしたね。

構成は至ってオーソドックスな自伝で、自分の幼少期から小学校~中学校~高校~そしてそれ以降と時間軸を追って自分の人生を振り返っています。
細かいところまでここで説明することはしませんが、やっぱり小さいころからなかなかの環境で育ってきたんだなぁと。
ラップを始めたきっかけがイケてないクラスメイトからの一言だっていうのも驚いたけど、高校生の頃ってそういうもんだもんね。

ラップを始めてからの人生がなかなか壮絶で。
仲間がラップバトルで「刺す」って言ったから実際に襲撃に行った(ホントに刺さないとリアルじゃないから)という話をはじめ、いろんな犯罪行為を赤裸々に語っています。もちろん時効が成立しているからだけど。
ほかにも「チョコレート屋さん」とか「観葉植物」「ストリート・ビジネス」という隠語を巧みに使ってはいるものの、これって完全にヤクの話。あ、ほんとにやってる人なんだ、っていうのを実感しました。
この界隈ではやっぱり普通に横行していることなんですね。

"表立っていないだけで芸能人でもドラッグをやる人、悪いことをやる人はいる。"


と彼自身も証言しています。ラッパーのファンとしてはうまくやるように祈るしかないのかもしれません。
バンクーバーに来てから「観葉植物」への抵抗はあまりなくなりましたが、日本では違法も違法なので。

でもそういう派手な「ギャングスタ」な部分だけがこの本の読みどころではありません。
彼の「リアル」へのこだわり、ひいてはラップ、ヒップ・ホップという音楽に対する姿勢も臆することなくさらけ出しています。
「リアル」への執着ははた目から見ればクレイジーだけれども、その一本筋を通した生き方にあこがれてしまうのが男子の性。
Libraとの一件も事細かに書かれていて、改めてその悪徳さに憤りを感じました。
でも「これを書いてる漢も一応犯罪者なんだよな」とちょっと立ち止まってしまうときもしばしば。
でもほかの証言がない今、彼を信じるしかないんだよなぁとも。
裁判には勝ってほしい。すべての真実が明るみに出ることを祈っています。

そして漢がラッパーになってから今までのキャリアが結構なディティールを伴って書かれているので、当時のシーンの雰囲気をいくらかつかむことができるというのは、ファンにとっても、僕みたいな初心者にとっても刺激的だと思いました。
知らない名前がいっぱい出てきたので、ハードコアなファンだと僕なんかが読むよりも面白いんでしょう。

アルバム制作の裏話なども書かれているので、今後彼の作品を聴くときにもう一度読み返してみるのもアリだと思いました。

先のGADORO戦では「掴んでねぇから破く事もできねぇ」とアンサーしていた漢。
そのドリームを掴むところを、僕は見てみたい。

★★★★☆
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