野島一人 『メタルギア ソリッド ピースウォーカー』

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角川書店、477ページ
Amazon(Kindle版あり)

前作にはかなわず、でも相変わらずの面白さ


<こんな本だよ!>
1974年。戦争と軍隊を放棄した国家コスタリカに、謎の武装集団が出現。背後には米ソの不穏な思惑が隠れている。平和を望む少女パスの願いをかなえるため密林に潜入したスネークを待ち受けていたのは、10年前に自ら殺害した最愛の恩師ザ・ボスと、完全なる核抑止を実現する自律歩行型核兵器ピースウォーカーだった。ザ・ボスは生きているのか。核抑止による平和は可能なのか。スネークの壮絶な任務が始まる。


あの「ベスト オブ 読んだ本 2015」で見事年間1位に輝いた『メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット』の続編です。

これまでに読んだ中では『メタルギア ソリッド サブスタンスI シャドー・モセス』と『メタルギア ソリッド サブスタンスII マンハッタン』(同「ベスト オブ 読んだ本 2015」で9位)を手がけた野島一人によるノベライズで、この作品が実はデビュー作だったようです。
「サブスタンス」シリーズはこの作品の後に書かれたものです。

『ガンズ オブ~』はあの伊藤計劃の作品というのもあって、のっけから個人的な思い入れ込みで読み始めて、物語としてのカタルシスが半端なかったのもあって本で初めて号泣してしまったという、もう僕の読書人生の中でも間違いなくベストとなる本でした。

その続編、ということで当然期待値も高まっている反面、「あれを超えられる物語などあるのだろうか?」という不安とともに読み始めました。
結果からいえば、前作を超えることは最後までありませんでした。
なんだろう、ザ・ボスともう一度対峙する展開になると明かされる冒頭部分はぐっと引き込まれたし、「絶対的な核抑止」というテーマも相変わらずの面白さだったのですが、なんだか、ね。

物語の最終的な盛り上がりどころがよくわからなかった、というのがでかいかもしれないです。
いつもでかい盛り上がりの後に裏切りとか種明かしをしてくるのがこのシリーズの特徴ですが、今回はその手前の盛り上がりどころで僕が盛り上がり切れなかったということもあって、ただただ大きな山もないまま終わりを迎えてしまったという感がありました。

でも、舞台が1964年の中南米ということで、完全なる冷戦下のお話で、事実とフィクションを巧妙に織り交ぜていく語り口は相変わらず面白かったです。
いろいろな引用を駆使して独特な世界観を作っていく筆致が、伊藤計劃を時々過剰なまでに思い出させるのは、おそらく意図的なものなのでしょう。
それでも、「シャドー・モセス」と「マンハッタン」の方が僕は読んでて面白かったなと思ってしまいました。なんなんだろう、読んだ順番なのかな・・・?

この物語の中で主人公であるスネークは何度も「ザ・ボスの死を利用してはならない。この死を彼女の手に返さなければならない」という主張をしているのですが、それがやはりあの『屍者の帝国』を連想してしまいますね。

あと、これに関連して、幽霊についての話で登場人物がこういうことを言っています。

"心霊写真ってあるだろう。幽霊は目に見えない、でも写真には写ってしまう。どうしてだと思う?幽霊は人間の心を惑わすんだ。本当はそこにいるのに、人間のこころに働きかけて、見えていないと思いこませてる。でもカメラにはこころがないから、ちゃんと写る。どう思う?"


なるほどねと思いました(小学生)。

それでも根本として面白いのは変わりがなくて、次作にして最新作「ファントムペイン」も読みたいと思います。楽しみ!

★★★☆☆+α
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