あらかじめ決められた恋人たちへ / After dance/Before sunrise

afterdancebeforesunrise.png
6th、2016年、日本
ダブ / エレクトロニカ / エモ
AmazonApple Music

ただのインストじゃねーぞ


だ、だ、DALLJUB STEP CLUBがバンクーバーに来るぞー!
Next Music From Tokyo」という、日本の新進気鋭のバンドたちがカナダを回るツアーがあってですね。
これまでもandymoriZAZEN BOYSきのこ帝国などそうそうたるメンツを発掘してはカナダに輸出してきたこの企画。
第8回となる今回はDSCのほかに、MOTFD午前3時と退屈NENGULEGAL LILY(どれも存じ上げない)という面々でトロント、モントリオール、バンクーバーの3都市をめぐるようです。
いやー非常に楽しみ!ライブで見たいと思っていたけれど、まさか帰国する前に見れるとは。ほかのバンドも楽しみです。

というわけで、そんなDSCの凄腕ドラマー・GOTOが参加しているもう一つのバンド、「あらかじめ決められた恋人たちへ」のニューアルバムがこちら。
聴くのは初めてです。
第一印象、バンド名がオシャレ。
意外とキャリアが長くて、ソロユニットとして1997年に活動が始まっています。バンドとして活動し始めたのが2008年らしいです。
今では7人という大所帯。
あら恋

バンド名で検索してみると、音楽性としてよく挙げられているのが「叙情派エレクトロ・ダブ・バンド」という言い回し。
「ダブ」というジャンルは名前だけ知っていてよく知らなかったのですが、要はレゲエ寄りのエレクトロニカという認識でいいのでしょうか。
「叙情派」ということはエモーショナルということでいいですよね。
平たく言うと「エモくてレゲエチックなエレクトロニカをやるバンド」ということになります。
中心人物である池永正二が鍵盤ハーモニカ奏者であり、それを生かした楽曲が多いです。鍵盤ハーモニカのエモさをなめるなよ。
あとちなみにインストがメインです。

でも、このアルバムを聴いてみた限り、「ダブ」要素はそんなに強くは感じませんでした。
代わりに「エモ」要素はすごく存分に出ています。
ダブ以外のエレクトロの要素、あるいはエレクトロ以外の要素もそこかしこに感じられました。

この作品は#1~#6の「After dance side」と#7~#12の「Before sunrise side」の2部構成になっているのですが、正直あまり前半と後半で違いというものは感じられませんでした。聴き手の問題という話もあるけれど。笑
全体で74分という結構なボリュームの作品ですが、このバンドが初めての僕でもすごく楽しんで聴けたのでかなりオススメです。
「いいバンド発見!」という喜びを感じることができました。今まで知らなかった自分がおかしいんですけれど。

これ以降「エモい」という言葉を連発していますが、それは「ひたすらエモーショナルで聴き手の感情を揺さぶってやまない」という表現の短縮版ですのであしからず。

個人的には前半がすごくツボでした。
GOTOの高速スネアロールから「これぞエモ!」というひたすらに壮大で激しいエレクトロ・バンドサウンドに突入する#2"blast"で一発ノックアウト。

DSCではかなりテクニカルにヘンテコなリズムをたたいている彼ですが、このバンドでは比較的まっすぐに、エモーショナルなドラムをたたいています。
ただただエモい5分46秒。泣くぜ。

続く#3"rise"はよりダンスミュージックに寄せた一曲。
これぞダブ、みたいなグルーヴに結構激しめな電子音。
そして中盤ではかなりアツいギターソロを聴くこともできて、非常におなか一杯になる一曲です。
踊れるんだけど、きちんとバンドしてるし。とにかくかっこいい
これが一番このバンドらしい一曲なんじゃないかと勝手に思ってます。結構なんでもありな感じで。

そして#4"焦点"。これが僕にとっては一番グッときた曲。
この曲には和合亮一という福島出身の詩人が参加していて、エモい演奏の上でエモい詩を朗読するポエトリーリーディング曲になっています。
この和合さんの声が非常によい。
池永さんと和合さんの対談の記事(コチラ)のなかで、池上さんがこのような発言をしていまして。

和合さんの朗読のテンポって、歩くテンポなんですよ。だから、和合さんの言葉の周りにある風景を僕らの音楽で作れば、言葉はその上を歩いていくんじゃないかなって。


この表現がほんとにバシッと自分の中ではまりまして。
この人の言葉、しゃべり方、一つ一つが、この音楽という「風景」の中でだんだんと人格を形成して、起き上がって、歩き出して、最終的にはちょっと上を向いて微笑む。
こういうプロセスがただの音楽を超えた、何か視覚的な感覚で伝わってくる。
これはなかなか味わうことができない感覚でものすごくエモーショナルでした。
ポエトリーリーディングという表現方法にがぜん興味がわいてきました。今年何かそういうイベントに参加できたらなぁ。
素晴らしい出来の一曲です。何度も何度もリピートして聴いてしまう魅力がある。

唯一MVが公開されている#5"gone"も紹介しておきましょう。

ボーカルは曽我部恵一。
オーソドックスな、サカナクション的なというか、非常にポップでわかりやすい一曲。
これは曲ももちろん素晴らしいんですが、MVが素晴らしい。
最近のこういうストーリー仕立てのMVってやたら美男美女が出てきたリ、素人のはずなのにダンスがめちゃくちゃうまかったりするじゃないですか。
このMVはその真逆。そのリアリティにまず目を奪われまして。
そしてこの「踊る」ということの根源的な喜びを表現するうえでこのリアリティがサイコーの役割を演じていて。
ただおばさんが泣きながら踊ってるっていう、ちょっととち狂った映像なのに、これが実に感動的。サイコー!!
監督が「横道世之介」の沖田修一というね。へぇ~。

後半となる「Before sunrise side」ももちろんだれずに最後まで楽しむことができます。
特に最後の#12"月下"は16分30秒という長大曲ながら、流れるような音楽に身を任せているうちに終わってしまうという、何とも不思議な一曲。

最初は「インストか、眠くなりそう」とか思ってたんだけど、マジではまりました。同じようなことを思っている人がいたら騙されたと思って聞いてほしい。Apple Musicで聴けるから。僕は帰ったらちょっとCDほしいなって思ってるくらい。
また自分の中で一つ扉が開いた気がします。こういうバンド、もっと聴きてい!!

★★★★★
スポンサーサイト

Comment

Leave a Reply


管理者にだけ表示を許可する