山田克哉 『核兵器のしくみ』

核兵器のしくみ
講談社、256ページ
Amazon(Kindle版あり)

文系理系は関係ねえ!知ってた方がいいぞ!


受験生の頃、よく先生が言っていたのが「理系ができる文系は強いぞ!」ということ。
文系だからこそ数学や理科で高得点が取れると周りのライバルと差をつけられる、という単純な理論です。
僕は結構数学や理科(生物)が得意(センターレベルで)だったので、結構受験戦争を優位に進めることができました。いえい。

でもそれは受験だけじゃなくて、オトナになっても大事にしていきたいなと思うモットーでございまして。
だって、「あ~そのへんはよくわかんないっすね」っていうのかっこ悪いじゃん。
ということで今回読んでみたのがこの本。

<こんな本だよ!>
原爆から原発までゼロからわかる決定版! 原爆、水爆、中性子爆弾……人類を消滅し尽くす超巨大エネルギーはどのように生れるのか? 核分裂・核融合の原理から放射能の怖さまで、現代人が知っておくべき核の知識を初歩から徹底解説!


この筆者がこの本を著した理由として、以下のような記述をしている。以下引用。

"核兵器や原発について考えるには、その科学的な原理を知っておかなくてはならないだろう。私たちは科学的な知識を得たうえで議論すべきである。…(中略)…筆者が言いたいのは、原発側と住民の信頼関係が成立しない限り、原発問題は容易に解決しないということである。そのためには、一般市民ももっと原子力の知識を深める必要があると思う。この本の趣旨はそこにある。"


これはほんとにそうですよね。
知らないままただ文句を言っていても、それではただ駄々をこねている子供と変わりません。ある程度は知識をもたなければ影響力を持つことなんて不可能。
「ヘタに知識を身に着けると意見が変わってしまいそう、反対する理由が弱くなってしまいそう」みたいな意見は論外。それこそ「反知性主義」の権化。死んでしまえよ。

いざ読んでみると、それはもう、かみ砕きに噛み砕いたんだろうなぁ…という想像が容易にできるほどの説明で書かれていて、文系出身でしかも生物専攻だったため化学の知識は皆無、という完全な門外漢の僕でもかなりの割合で理解できました。
まあ、「かなりの割合で」というところがミソで、やっぱり完全に理解するのは難しいです。長々しい説明を斜め読みしてしまった部分もありました。笑
それでも、読み終わった今では読む前に比べてだいぶ、大幅に知識の面で成長できたと思います。
だって、これを読む前には原子爆弾にウラン型とプルトニウム型があるのも知らなかったし、広島には前者、長崎には後者という異なるタイプの核兵器が使われていたことすら知りませんでした。

まあ、この本を読んで知識を得た後でも(だからこそ)やっぱり「怖いもの」というイメージはぬぐえないし、問題点もたくさん見えてきました。
この本がかかれたのは2004年ということで、福島原発の事故については触れられていないわけですが、その辺の事もいろいろ考えさせられました。
「原発事故」ということでいうと、アメリカ・スリーマイルアイランドでの事故、ウクライナ・チェルノブイリの事故、そして国内の美浜原発、高速増殖炉「もんじゅ」での事故、東海村でのJCOの事故についての原因の簡単な説明をした後に、筆者はこう述べています。以下引用。

これまで見てきたように、原発のほとんどの事故は「人間」によって引き起こされている。「ずさんな管理」が原因として挙げられるであろう。原発の定期点検も徹底して行われなければならない。特に原発の場合「この程度なら大丈夫だ」という認識は許されない。


僕はこれを読んで、「AIが真っ先にするべき仕事はこれだ!」と思いました。
人間と違って感情や判断ミスのないAI・コンピューターに制御を任せて、緊急停止ボタンだけは人間の管理下に置けばいいじゃない。
それとこの筆者は「国が原発の運転員および作業員を教育する専門学校を全国に作ったらどうか」と提案しています。
僕はあまりわからないんですが、今は原発の職員になるのに特殊な資格は必要ないみたいです。これは100%おかしい。
自分でやっていることのしくみがわかっていないのでは事故が起こるのも当たり前です。

水爆のしくみもこの本で初めて知りました。
核融合発電はこの本が書かれている時点では実用化には程遠いようですが、10年たった今でもそれはあまり変わっていないようです。がんばれサイエンス!

読まないよりは読んだ方が絶対にいい、良質な入門書でした!
オススメです。

★★★★☆
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