そして父になる

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2013年 
監督: 是枝裕和 
出演: 福山雅治、尾野真千子、真木よう子、リリー・フランキーほか 
  
怖い福山雅治


まあ~前見た「海街diary」が素晴らしかったもので、この監督のものをどんどん見ていきたい!ということで。 
日本人の監督で初めて「好きな監督は?」と聞かれたときの答えができた気がします。
 

<こんな映画だよ!>
申し分のない学歴や仕事、良き家庭を、自分の力で勝ち取ってきた良多(福山雅治)。順風満帆な人生を歩んできたが、ある日、6年間大切に育ててきた息子が病院内で他人の子どもと取り違えられていたことが判明する。血縁か、これまで過ごしてきた時間かという葛藤の中で、それぞれの家族が苦悩し……。



いや~、よかったですねぇ~。よかったです。
この映画の脚本は福山雅治に当て書きされたということを見た後に知って、すべてが腑におちました。
是枝さん、すごいよ。 
福山雅治さん演じる主人公のキャラクターを軸に物語が進行していくのですが、とにかく彼の存在感に圧倒されます。 
彼がいなければ、彼じゃなければ成立しない映画でした。 
 
そして、演技・演出・美術・音楽すべてがハイレベル。 
これは「海街diary」でも言ったことですが、「日常」の描き方、切り取り方がすごくうまいです。 
この映画ではただそれがリアルというだけじゃなくって、「二つの家族の対比」というこの映画の構造上かなり重大な役割を担っていて、そのうまさが余計際立っていると思いました。 
福山雅治&尾野真千子夫妻の「金持ち・絆が希薄」家族と、リリー・フランキー&真木よう子の「貧乏・絆が濃厚」家族の対比がず~っと描かれていくのですが、その手腕が見事。 
各人物の所作やセリフ、着ているものや持ち物、乗っている車、住んでいる家などなど、使えるものは全部使ってやろうという気迫すら感じる演出・美術がすごいです。 

そして子役のうまさ。 
子役のうまさというよりは使い方のうまさというべきなのか、その場で口伝えでセリフを教えて自然な演技で演じてもらったというだけあって、子供たちの演技が非常にのびのびしています。 
子供たちって何も考えていない純粋無垢な存在、というのは実は大人たちが作った幻想で、彼らだって悩んでるしいろんなことを感じて考えてるんだ、ということをこの監督は忘れていない。 

そしてこれらの要素が合わさって、非常に面白い人間ドラマに仕上がっているのがこの映画です。 
端的に言えば「そして父になる」というタイトル通りのストーリーなのですが、それでも2時間飽きさせずに見られるのはやっぱり一つ一つの場面がきれいに丁寧につながっていくから。 
だからエンディングは「え、これで終わり?」という感じがしてもエンドロールを見終わるころにはものすごい充実感を感じる、そんな映画になっています。 
  
なんかね、怖いんですよ。 
決してスリラーでもホラーでもないのに、「本当に怖いのは人間」というのを地で行く怖さ。 

福山雅治がね、めちゃくちゃ怖いんですよ。 
これまでの人生は「負けたことがない」し「アクセルを踏みっぱなし」という完全無欠で、だからこそ他の人間を見下していて自分の子供が優秀じゃなければ軽蔑のような感情さえ抱いてしまうこの主人公。 
だから言葉の端々に「トゲ」があるし、目線とかもすごい怖い。 
社会ではすごく評価されているし、見た目も「いい人」だし、何より「福山雅治」というパブリックイメージとのギャップがあるからこそものすごく怖いんですよ。 
そんな彼が周りの人間をどんどんまずい方向に引っ張っていくのに、彼はそれを正しいことだと信じているというね。
このあたりはちょっと「ナイトクローラー」の主人公を思わせる怖さです。サイコパスとまではいわないんだけど、同じ種類の怖さ。
 
そんな彼に振り回されたり、時には彼に成長を促していく周りの人たちを固める豪華キャストがやっぱいいですよね。 
リリー・フランキーと真木よう子(あれ?「モテキ」コンビ・・・)の「いい家族っぷり」「金はないけど幸せっぷり」もいい感じですね。いいなあ、いいなあ~って。 
あの、ちょっと、育てられたいです。 

それでも、やっぱり「海街diary」が傑作すぎて、どうしても比べてしまうと、あのすごさには勝てないなということで、
アレよりは低い評価をつけざるを得ません。う~ん、歯がゆい。 
あれが傑作すぎたということなんですけどね。これもいいんです。めちゃくちゃいい。 

これからも是枝作品見ていきたいです。次は「奇跡」(2011)かな。 

オススメです! 

★★★☆☆+α
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Theme: 映画レビュー - Genre: 映画

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