サディスティック・ミカ・バンド / 黒船

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2nd、1974年、日本
プログレッシヴ・ロック / グラム・ロック

世界に向けた日本からの「黒船」

川崎大助著『日本のロック名盤ベスト100』に乗っている名盤を聴いていくシリーズ第2弾。
前回は小坂忠HORO」(1975)でした。

このアルバムはこの本の中のランキングではなんと第9位。トップ10入りを果たしています。
この本のレビューから一部を抜粋します。

"日本のロックとはいかなるものなのか、その雛形のひとつを海外のロック・ファンに広く提示し得たバンドの嚆矢が彼らだ。代表作となるこのセカンド・アルバムは、ビートルズ、ピンク・フロイド、のちにはセックス・ピストルズも手掛けた名プロデューサー、クリス・トーマスを招いてイギリスでレコーディングが行われた。これも当時としては異例のことだった。「タイムマシンにおねがい」は彼らの代名詞的一曲となった。"

結成時にはつのだ☆ひろがドラマーだったというこのバンド。
他のメンバーも日本のロック界ではかなりの重要人物らしく、ギターの高中正義はフュージョンの世界で有名、ドラムの高橋幸宏はのちにイエロー・マジック・オーケストラのメンバーとして活躍するとか。
どこ行っても細野晴臣の影がちらついてすごいな。


ジャンルは「プログレッシヴ・ロック / グラム・ロック」としましたが、「グラム・ロックっぽいプログレッシヴ・ロック」とかそういうことではなくて、プログレ寄りの曲と、グラム・ロック寄りの曲がはっきり分かれていると感じました。

#1"墨絵の国へ"からインストナンバー#2"何かが海をやってくる"への流れは完全にプログレのそれ。
特に#1のボーカルはメロディを歌うボーカルとつぶやくようにそれを追いかけるコーラスが非常に新鮮に響いて、一気にアルバムを聴く側を引き込んでいきます。

それに対して、代表曲とされている#3"タイムマシンにおねがい"なんかは完全にグラム・ロック。
でも単なる「もどき」「猿真似」で終わることなく、とてつもない完成度に持って行っているのがすごい。

この曲でのミカ(Vo.)の存在感はすさまじいものがあります。こんな名曲を今まで知らずに生きてこれたのがすごいと思いました。

本場・ロンドンでのレコーディングが功を奏したのか、ギターサウンドをはじめサウンドプロダクション自体がYesとか「本物」に全くひけを取らないものになっていて、これを聴いたイギリスの音楽好きたちにも受け入れられたのもうなずけます。

#4"黒船(嘉永6年6月2日)"~#6"黒船(嘉永6年6月4日)"のギターインスト3連発はそれが如実に表れています。
高中正義のギタープレイもものすごいし、ドラマティックな構成(黒船がやってくるところを描いたものなのでしょう)も相まってただただすごい。

ドラマティックさでいったら後半(LPではB面)の#9"四季讃歌"も負けていません。
どちらもプログレとして恐ろしいほどの完成度を持った名曲です。

それでもファンキーで上がれるストレートなロックナンバーも用意していくれている彼らの懐の深さよ。
日本の祭りばやしにサックスが絡んでいく小曲#7"よろしくどうぞ"に導かれて始まる#8"どんたく"やとにかくにぎやかでファンキーな#10"塀までひとっとび"は彼らのまた違った1面を見ることができます。
こういった曲では小原礼のベースや今井裕のキーボードの味付けが際立っています。どれだけセンスのある人たちが集まってんだよ。

最後はアコギの弾き語りを基調としたシンプルなバラ―ド#12"さようなら"で締められます。

発表から40年以上たった今でも「世界基準だな」と一発でわかってしまうほど突き抜けた革新性と、日本語に、日本の歴史にこだわりぬいた歌詞のもつ普遍性。この2つのバランスが実に見事で、歌詞の普遍性はイギリスでは「特異性」に読み替えられて人気に火が付いた。そういうことなのではないでしょうか。


「HORO」に続いてこれまた傑作。日本のロックの歴史、どんどん触れていきたいです。


★★★★★


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