SOIL&"PIMP" SESSIONS / BLACK TRACK

BLACKTRACK.jpg
10th、2016年、日本
ジャズ
AmazoniTunes(Apple Musicあり)

ジャズってこんなにも「かっこいい」

このバンドの存在を知ったのは忘れもしない、2014年に行った「林檎博'14 年女の逆襲」という椎名林檎のコンサート。
浮雲やヒイズミマサユ機といった豪華バッキング陣の中でひときわ僕の目に留まったのが、アフロヘア―で緑色のキットをものすごいエネルギーとグルーヴで叩きまくる凄腕のドラマー。
家に帰って調べるとそのドラマーの名前は「みどりん」といい、SOIL&"PIMP" SESSIONSというジャズバンドをやっているらしい、と。
さらにそのあとさらに調べていくとRHYMESTERとも"ジャズィ・カンヴァセイション"という曲でコラボレートしているではありませんか。

ちょっとこれはかっこいいんじゃないですか?と思い始めて1年以上が経ち、やっとこうしてアルバムを1枚通してきちんと聴く機会が持てました。やったー!
こうやって聴く音楽がさらに新しい音楽につながっていく。素晴らしいですね。僕。

このバンドは6人編成。
トランペット:タブゾンビ、サックス:元晴、ピアノ:丈青、ベース:秋田ゴールドマン、ドラム:みどりんというここまではわかる。
わかんないのがアジテーター:社長という人物。
このバンドは基本的にはインストバンドなので、ボーカルが入っている曲に関しては外部からボーカリストを招いています。この社長はライブの時とかに観客をあおったりするのが仕事だそうです。
その役割にはみんな疑問を抱いているようで、Yahoo!知恵袋に「社長って必要ですか?」という質問があったのには笑いを禁じ得ませんでした。
ほんと何なんでしょうか。曲を作ったりプロデューサー的な仕事もしているのか、本当にパフォーマー的な立ち位置なのか。歌詞サイトなどを見ると「作曲:社長」とクレジットされたものが多く見られたのでそういうことなのかもしれません。

まあともかく、この6人がSOIL&"PIMP" SESSIONSというバンドで、この作品は通算10枚目となるスタジオアルバム。結構キャリア長いんですね。

もうね、端的に言って、「ジャズ」という音楽がもつ「かっこよさ」をこれでもか!というくらい凝縮した作品になっています。
本格的なジャズ作品は先日聴いたSonny ClarkCool Struttin'」だけという全くのど素人なので、まだまだ聴くジャズ聴くジャズすべてが新鮮ですべてを受け入れてしまう段階にいます。
だから実は玄人の方から見たらそんなにすごくないのかもしれませんが、僕の耳にはものすごく刺激的な音楽に聴こえました。
そういう意味ではこのバンドは現代の日本においてジャズをもっと広めていく際、に最初に聴かれるべきバンドかもしれません。

それはこれまでのジャズの焼き直しなのかもしれないし、なにも新しい付加価値を生み出していないのかもしれないし、はたまた全く新しいジャズとして評価されるべきなのかもしれません。
それは僕がまだ語れる次元のことではないということで、ここでは書きません。誰かジャズの歴史の中で位置付けて僕に教えてください・・・
僕は、ジャズ初心者としてこのアルバムを聴いて、めちゃくちゃかっこいいと思いました。

曲も一曲一曲キャラ立ちしていて全然飽きずに最後まで行けます。
「BLACK & MELLOW」というのが今作のテーマで、黒人音楽をとことん突き詰めたジャジーでファンキーな曲もあれば、一転してメロウな歌モノもあったりと。
いくつか印象に残った曲にも触れながらアルバムの概観をば。

#1"Introduction"で準備を整えた我々の耳にまず飛び込んでくるのは、ジャジーなヒップ・ホップチューン#2"By Your Side"
この曲に参加しているBambuというラッパーはフィリピノ系のラッパーだそうです。アメリカで活動しているようです。
このバンドが奏でるジャジーで極上なビートの上で彼がいい感じにリラックスした耳あたりの非常によいラップを聴かせてくれます。
やっぱジャズとラップって相性いいんだな、というのを再確認いたしました。このアルバムの中でもかなりお気に入りのナンバー。

ラップとの共演で鳴りを潜めていた楽器陣のハイパー超絶技巧が炸裂するのがお次の#3"BLACK MILK"
トランペット~ピアノ~サックスと順番にソロを取っていくのですが、どれもやっぱかっこいい。
テンポがかなり速い方なので非常にスリリング。ジャズってかっけ~!!ってなります。

そしてそこから一転、メロウな歌モノに。ペトロールズの長岡亮介をゲストに迎えた#4"Connected"
なんとギターだけではなくボーカルも取っています。非常に彼らしいフワフワしたギターと歌。サイコーです。
中盤部のホーンセクションのハモりのメロディも良いです。

ハービー・ハンコックによるジャズ・スタンダードのカバー#5"Cantaloupe Island"でさらにメロウな雰囲気になったあとはサイコーにファンキーでアッパーな#6"Papaya Pai Pai"。
下の動画の0:51からその一部が聴けますが、この「パッパッパッパッ」という単音の弾けるような音色がとにかく聴いててアガるし気持ちがいい。ライブで聴いてみたい。


ジャズとポップの融合を聴きたいという人は#8"In2 My Soul"を。
ボーカルを取るのはTAHITI 80のXavier Boyer。フランスのポップバンドのボーカルです。
フレンチポップっぽいドリーミーさ漂う一曲は夕方のドライブに最適かもしれません。とにかくめっさオシャレです。笑

そしてやっぱりみどりんのドラミングにひと目ぼれしてこのバンドを知った僕にとっては#10"SOILOGIC"冒頭の彼のドラムソロにしびれずにはいられません。
ジャズドラマーなのにこんなにパワフル。すごい。
かと思えば#11"Simoom"のイントロのようなグルーヴの塊のようなドラムも叩けるんだから。すごい。

そしてアルバム実質最後の曲#12"Mellow Black"では「Mellow」と「Black」という二つのコンセプトを合わせた、今作の集大成ともいえる一曲。
とことん黒くて、とことんメロウ。
こういう曲を最後に持ってくるあたり、構成力もさすがといわざるを得ません。

最後はオルガンをフューチャーしたファストでクールなチューン#13"SEKAI"でお別れ。
勇壮なコーラスも男っぽくていいですね。


彼らは自分たちのサウンドを「Death-Jazz」と称しています。
それほど激しいプレイングを身の上にしている彼ら。そのスタイルは現在の「邦ロック」のリスナーとも共鳴する部分が多分にあると思います。
「ジャズってなんだか眠たそう、退屈そう」という偏見を持っている人はまず、どんなジャズの歴史的名盤よりもこの作品を聴いてみることをお勧めします。

傑作!

★★★★★

音楽・映画・本の感想をほぼ毎日更新中。Feedlyでの購読をお忘れなく! 
follow us in feedly
スポンサーサイト

Comment

Leave a Reply


管理者にだけ表示を許可する