アジャストメント

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2011年
監督: ジョージ・ノルフィ
出演: マット・デイモン、エメリー・ブラント、アンソニー・マッキー
AmazoniTunes(レンタル有り)


どちらにしろ劣化版なのは間違いない。

<あらすじ>
将来有望な若手政治家デヴィッドは、ある日エリースという美しいバレリーナと"運命的"に出逢い、一目惚れする。しかし次の瞬間、突如現れた"アジャストメント・ビューロー(運命調整局)"と呼ばれる男たちによって、デヴィッドは拉致されてしまう。彼らの目的は、本来"恋に落ちる予定ではなかった"デヴィッドとエリースを引き離し、"運命の書"に記述された運命に従わせること。混乱するデヴィッドに突きつけられたのは、「この世のすべての運命は、ビューローが既に決めた運命から悦脱しないよう常にモニターされ、操作されている」という、信じ難い現実の"裏側"だった。超人的な能力で運命を操作する彼らに対し、必死の抵抗を試みるデヴィッド。やがて、ビューローの真の目的に気づいたとき、彼が手にする本当の運命とは?



原作はフィリップ・K・ディック(「ブレードランナー」による『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』の映画かが有名)による短編。とはいえ設定だけいただいて、あとは映画オリジナル、という感じらしいです。
これまたiTunesの「今週の映画」セレクト。このセレクトには意味があって、このヒロイン役を演じているエメリー・ブラントは現在公開中の「ボーダーライン」で主演を務めるという。あと「プラダを着た悪魔」(2006)にも出演しています。

愛し合う二人が引き裂かれそうになりながらも不思議な世界を逃避行する、という展開は「エターナル・サンシャイン」(2004)を、人の運命をつかさどる団体・集団がいるという設定はどこか「インセプション」(2010)を想起させます。
SFと恋愛の要素をどちらも入れ込んだ映画になっています。
ただ、これら二つと比べるとあまりにも作りが甘すぎるし、何より着地が安易すぎるとおもいます。
これら二つに似てはいるけれど、正直比較対象ですらありません。

もうね、お話としていろんなところが突っ込みどころがありすぎなんですよ。

・この<アジャスト隊>がおバカすぎ
このお話、この<アジャスト隊>のある一人のとんでもない大チョンボ(のちにある仕掛けが明らかになりますが)によって始まります。世界の運命をつかさどるこの<アジャスト隊>のありえないヒューマンエラー。
しかもこいつらをだますのが拍子抜けするくらい簡単というね。力技でイケる。

・主人公とヒロインの恋愛が「運命」の二文字で片づけられすぎ
これはすごいですよ。「出会って3分でキス」。リアルAV。「運命だから」ってことで全部がうまくいくんですよ。うまく行き過ぎ出て「この後何か起こるんじゃないか?」って疑っちゃうくらい。
でも結局何も起こらない。本当に「運命」という現象に頼りすぎ。観客は置いてけぼりです。

・このお話のオチがひどすぎ
ここからはネタバレなので白字で行きます。「」内は反転で読めます。
『主人公は将来大統領になって世界を救う存在で、ヒロインは世界的ダンサーになる。でも二人が結ばれると双方の夢がダメになってしまう』という種明かし自体は結構『オッ』と思いました。これは究極の二択ですからね。
どっちに行ってもバッドエンドだな、完全なハッピーエンドはないな、と思いました。
そしたらどうですか。最後。『お前らには感心させられた。君たちは自由だ』って。いかにもハッピーエンド風。
・・・世界はどうなるんだよ!!そこに関する回答が一切ないのがなんだか。
最後二人が抱き合った瞬間に核戦争が始まるとか、やっぱりどっかそのツケは支払わないと。
ひどいわ。

いくつかの情報筋によると、この原作の小説はどこかコミカルな調子で書かれているらしいし、大チョンボをやらかすのもこの<アジャスト隊>の飼ってる「犬」らしいんですよね。
だからどこか寓話的に書かれているのかもしれません。
だったら、このような記号的な恋愛話とか甘すぎるエンディングもまだ許せるんですけどね。ここまで硬派なSFタッチで描かれるとなんだかいろいろ突っ込みたくなってしまいます。最初っからコメディにすればよかったのに。

でも、最後の「どこでもドア」での追いかけっことか、細かいセリフ回し、「いろんなことは実は運命によって決められている」という決定論・陰謀論的な設定なんかはSFファンとしてはワクワクしたのは確か。
でもな~。あまりにも脚本がダメダメすぎるので。

あとさ、このお話の中でこの<アジャスト隊>が人類に介入していい方向に導いてきた歴史のようなものが語られる場面があるんです。
古くはローマ帝国やそのあとの暗黒時代の話にさかのぼって。
そのあとこの集団は人間にルネサンス、文明開化、技術革命を与え、手を引いたといいます。
もうこの時点で西洋中心主義みたいなのが見え隠れしていてう~ん、って感じなのですが、この後のセリフがもっと最悪で。
「だがその後の50年、第一次世界大戦にはじまり大不況、ファシズム、ホロコースト、そして冷戦時代のキューバ・ミサイル危機。我々は人類が修復不可能な過ちを犯す前に再び介入することにした。」と。
おい!原爆投下だろ!おい!20世紀最大の人類の悲劇はどう考えても原爆・水爆の開発・使用だよ!なんでそれが盛り込まれてねえんだよ!
なんかこういうとことか、妙にキリスト教っぽい世界観とか、どうしても受け付けない「気持ち悪さ」も所々感じる映画でした。

100円で見れたからまだいいですが、これを劇場に足を運んで1800円払ってまでは見たくないなと思いました。

★★☆☆☆

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Theme: 映画レビュー - Genre: 映画

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