Slipknot / Slipknot

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1st、1999年、アメリカ
ニュー・メタル
AmazoniTunes(Apple Musicあり)
★★★★★

狂気でしかない

このバンドの出現は「事件」だった、というような記述を見かけることがあります。
「アメリカが生んだ狂気」というのもどこかで見た記憶が。
それほどまでにこの仮面をかぶった9人組という存在のデビューは衝撃的だったことでしょう。
20世紀最後の大事件にしてセンセーション。

古今東西、顔を隠してパフォーマンスするバンドというのは多いです。
そんな中でもここまでマスクにストイックにこだわっているバンドというのはSlipknotくらいのものです。
Kissですらノーペイントの時代があったし、FACTはすぐに能面を捨てたし、Hollywood Undeadもライブではマスクを取ることに全く躊躇がない。
MAN WITH A MISSION・・・?あれは、コミックバンドでしょ?笑

フツーの音楽やってるんだったらマスクなんていらないんです。だからそれを捨てた人たちは所詮それをただのギミックとしてしか扱ってなかったか、リスナーに「ギミックだ」と思われてしまったから。
でもこのバンドは違う。
リスナーに「この音楽にはこのルックス」と間違いなく認識させるような唯一無二なサウンドだったし、たまたま彼らのかぶっていたマスクは彼らの表現したい怒りだったり絶望だったり狂気だったりにものすごくマッチするようなものだったのです。
彼らには仮面をかぶる必然性があった、そういう簡単な話です。

特にことさら「狂気」という部分に関してはこのアルバムが一番突出しているように思います。
「怒り」という部分では2ndの「Iowa」(2001)に譲ってしまうし、もっと音楽性の面で豊かになっていくのはそのあとの3rd「Vol.3: The Subliminal Verses」(2004)以降。
さらに、音楽的なクオリティやサウンドのクリアさ、ひいてはMVまでもがどんどんクリアに、高解像度になっている最近のSlipknotよりも、サウンドはローファイで、MVも画質がそんなによろしくないこの1stの方がこのアイオワという土地が生んだどろどろとしたヘドロのような狂気がうまく切り取られているような気がします。
このジャケットもそう。間違いなく「狂って」います。

でもただマスクをかぶって狂気を表現するなら、その辺のホームレスだってできます。
彼らがすごいのが、それを極めて高い音楽性で表現した点。
前半の#2"(sic)"~#6"Spit It Out"の5曲は今でもライブの定番とされている彼らを、そして時代を代表する5曲。
それを連続でド頭に持ってきちゃうのがすごい。

コリィ・テイラー(Vo.)のラップから歌からスクリームまでこなす器用さ、ジョーイ・ジョーディソン(Ds.)のありえないほどの手数と足数の多さ、シド・ウィルソン(DJ)のツボを心得たスクラッチ、クレイグ・ジョーンズ(Sampler)の不気味なサンプリング、ショーンとクリスの不穏なパーカッション・・・ホントにカオスなんだけど、それが崩壊するの部分で持ちこたえてる感。いや、所々崩壊してるな。
そして特筆すべきがミック・トムソンとジェイムズ・ルートのギターコンビ。とにかくリフがかっこいい。特に冒頭5曲のリフは全部一つ一つに何らかの賞と何らかの保護を与えたいくらいかっこいい。
曲の大半はジョーイとポール・グレイ(Ba.)が書いていたというね。
とにかくミュージシャンとして有能な人材がよくも9人も集まったなという。奇抜さとか過激さが先行して語られがちなこのバンドですが、実はものすごい優れた才能の集まりだということをお忘れなく。

冒頭5曲ばっかり注目を集めていますが、彼らのこのアルバム独特の「狂気」を感じたいならアルバム後半こそ聴きどころです。
キャッチーな曲は#9"Liberate"くらいですが、混沌とした彼らの世界観が如実に表れています。
特に一番イカレてるのはやっぱり最後の#14"Scissors"かな。イントロから「何の音?」って感じでサイコー。


Slipknotの原風景がここにある。
聴いていない人は今すぐ聴くこと。


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