パコと魔法の絵本

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2008年
監督: 中島哲也
出演: 役所広司、アヤカ・ウィルソン、妻夫木聡、土屋アンナ、阿部サダヲ、加瀬亮、劇団ひとりほか
★★★☆☆

泣いたよ、泣いたんだけど・・・

すんげー泣いた。泣いたんだよ。でもね、でもね・・・!!

<あらすじ>
舞台はちょっと変わった人たちが集まっている、とある病院。中でもわがまま放題のクソジジイ・大貫は病院中の嫌われ者。そんな大貫がある日パコという女の子と出会う。パコは同じ絵本を毎日楽しそうに読んでいる女の子。大貫はそんな天使のような女の子まで自分の勘違いでぶってしまう…。でも、翌日になるとパコはケロッとした顔でまた大貫に近づいてくる。実はパコは記憶が1日しか持たない女の子だった。それを知った大貫はさすがに反省し、パコに謝ろうとそのほっぺに触れたとき、驚くべきことが起こる…。



iTunesの「今週の映画」でした。このコーナーは必ず見ようと心に決めたので見ることにしました。
それ以外だったら絶対見なかった映画ですね。
はい、完全になめてました。

そしたら泣いちゃったんですね。号泣ですよ。
ロッキー」を見たときもそうだったんですが、そんなに自分の中でハードルが高く設定されてないと簡単にコロッとやられちゃいますね。
この作品に関してはもうハードルがなかったみたいなもんなので、カウンターでボコッとやられました。

しかも冒頭の阿部サダヲと加瀬亮のお話のシーンでキテレツな世界観が提示され、大して面白くないギャグみたいなのが連発された瞬間に「終わった・・・」と思いました。正直。
本筋のお話が始まってもしばらくは「やべーもんを見せられている」という感覚が抜けませんでした。

でも、この病院にいる人たちのキャラクターがだんだん掘り下げられていったり、この「クソジジイ」大貫がパコと出会って改心していくあたりから、「お?」「ん?」「えっ・・・ウルっ」みたいなところがだんだん多くなってきて、それは次第に「これは泣く」という確信に変わっていきました。

そしてCGと実写が交差する「ガマ王子対ザリガニ魔人」のシーンでその涙が頂点に達しました。
もうボロボロ。「ショート・ターム」の記事でも書いたけど、やっぱり守るべきは子供の笑顔だよ!かけがえないよ!アヤカ・ウィルソンちゃんを守るためなら大人たちは闘うべき!協力すべき!命を張るべき!死ぬべき!ええええん!!ってな感じで。
でも、私は気づいていました・・・ここくらいから、不気味な「違和感」が僕に忍び寄ってきているということに・・・!
その違和感はネタバレ部分に書くことにします。

アヤカ・ウィルソンがめちゃくちゃかわいい。
主人公たちの行動に説得力を増すという意味での「絶対値としてのかわいさ」でいうと、最近見た「モテキ」での長澤まさみに匹敵するほどのかわいさ。数値化したらたぶん似たようなもんでしょう。

あと、主人公の周りのキャラクターがいい。
特に土屋アンナ演じるパンキッシュなナースと、妻夫木聡演じる精神を病んだ自殺志願者、この2人がよかったですね。この2人のエピソードだけで涙腺ゆるみました。
劇団ひとりの役がもう少し見せ場があってほしい!とか阿部サダヲが終始空回り気味、オネエの描き方が酷い、小池栄子がスベリ倒している、とか言いたいことは山々はありますが、それでも周りのキャラクターたちにも、にこそ魅力がある映画だったのではないでしょうか。

CGと実写が絶妙にクロスオーバーしていく究極なまでにフィクショナルな世界観には結構引き込まれました。劇場で3Dで見たら結構な迫力だっただろうな。

キャッチコピーにある「子供が大人に、読んであげたい物語。」の通り、子供向けだと侮っているとまんまとやられてしまう映画でした。
僕は期待してなかった分十分楽しめました。言いたいことはたくさんあるけれど。
でも見てみる価値はある映画だったと思います。言いたいことがたくさんできると思うけれど。
オススメです!

↓はい、では以下はネタバレです。未見の方は見てからこの下を読みましょう。↓



パコちゃんが読んでいたあの「ガマ王子」の絵本。
もちろん内容は「みんなに意地悪をしていたガマ王子が、次第にその虚しさに気付き、優しい気持ちに目覚める」というもので、実世界の大貫の人生・胸中のシンクロしているものになっています。
だからこそ大貫がガマ王子を演じるのが感動的だし、それ自体は素晴らしいんですが、まず最初に感じた違和感がこれ。
「ザリガニ魔人って・・・何のことだ?」
この劇中劇の中では「ザリガニ魔人を許さない!」と言って必死に戦っているのですが、それが実世界の何と対応しているのかがわからないので、せっかくそこまで感じられていたカタルシスが急激に衰えていくのを感じました。
大貫の中の病なのか、パコの記憶障害のことなのか・・・わからないままザリガニ魔人は(しかも脇役の阿部サダヲによって)倒されます。

まあ、これでお話が終わるわけはないだろうなと思ってはいました。
ここが最大の見せ場ではあるけれど、この後もう一つオチがあって、それこそは「違和感」もなく心から感動できる終わり方が待っているんだろうな・・・と思ったら。

やっぱりあのオチはダメだよ。
だって、パコちゃんの寿命に関する伏線は一切なかったじゃん!!
そこで大貫も観客を代弁して「なんで・・・」みたいなことを言うんですが医者の方も「もともと、大貫さんに出会うはずですらなかったんです・・・」と究極の「あと出し」発言。
おい!パコちゃんを、アヤカ・ウィルソンちゃんを返せ!!!
これは怒り心頭です。
結局難病の少女が死ねば客は感動し泣くんだろ?みたいな安易な発想に感じられてしまってそこからは急速に萎えていってしまいました。

ほかにいくらでもやり方があったと思うんです。
大貫があのまま死んだっていいし、そのあと病魔という「ザリガニ魔人」を倒し、あの仲間たちと仲良く暮らしました。めでたしめでたし。でもいいわけですし。
それに、あんだけドラマを描いたんだから周りのキャラクターたちの後日談だけでも十分感動的なエンディングは作れると思うんです。
何も、パコちゃんを殺さなければいけない必然性が全くないんです!!!!!(大声)

だから僕が号泣した途中までは本当に素晴らしい作品だったのですが、オチで結構台無しになっちゃったなという感じです。
こうやって僕は途中で泣いてしまった自分を正当化していきます。



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Theme: 映画レビュー - Genre: 映画

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