【グラミー賞を聴いてみよう Vol.7】 Arcade Fire / The Suburbs

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3rd、2010年、カナダ
インディー・ロック / アート・ロック
AmazoniTunes(Apple Musicあり)
★★★★☆

あの頃はよかった

細々と続くこのコーナー。第7回を迎えました。
これは比較的最近の受賞作。
第53回グラミー賞(2011年)で栄えある「最優秀アルバム賞」を受賞した作品です。
ほかの候補にはEminemRecover」やLady GagaThe Fame Monster」などそうそうたるメンツがいたにもかかわらず、の受賞です。すごい。

そもそもデビュー作の「Funeral」(2004)がものすごく高い評価を受けていて、すぐにグラミーのオルタナ部門にノミネート。2nd「Neon Bible」(2007)でも同じくノミネートされていましたが、この3rdでついにそこを飛ばして全体の最優秀アルバムを受賞。
そしてこの後にリリースされた4th「Reflektor」(2013)も各批評雑誌で年間ベストアルバムベスト10にランクインしているという。
キャリアを通じて絶賛されっぱなしってすごいな。普通はどこかで手のひらを返されそうなものを。

「最優秀アルバム賞」を取ったわけだから、アルバム全体を聴いて「ふむふむ」とやらねばならぬな、と気合を入れて聴いてみた。
散歩しながら流して聴いた分には「ふ~む」といった感じ。
そしてバス等の移動中に耳を澄まして聴いてみると「ふ~む・・・」ととった感じ。
そして家で歌詞を読みながらじ~っくり聴いてようやく「いいねぇ」となりました。
上から目線でスマソ。

正直、曲自体に「うおお」となるほどの感動はありませんでした。
結構フツーのインディー・ロック。決め手になるような「一発コレ!」という曲もないです。
ヴァイオリニストがいたり、女性ボーカルが歌う曲もあったりと、一応独自性はあるけど「まあまあ」という程度。
そこで勝負しているバンドではないんだな、と。

歌詞を含めた「全体の雰囲気」で聴かせるバンドだなと。
「全体の雰囲気」。バカみたいな言い方ですね。でもそういうことだから仕方がない。

歌詞の内容はアルバムを通じて「あの頃はよかった」というもの。
"The Suburbs"(郊外)というタイトルは、Butler兄弟が生まれ育ったテキサスの田舎町を指しています。
僕も田舎で育ったのでわかるのですが、田舎には田舎にしかない「若さ」「青々しさ」「純朴さ」のようなものがあるのです。
成長して都会に出た人ならなおさら。田舎で過ごした「青春時代」という思い出を僕たちは「田舎」という額縁の中に飾って「あの頃はよかった」とその飾られた絵を凝視するのです。

そのように自分が若かったころ、まだ純粋だったころ、何もかもが一つだったころ、まだバラバラになっていく前の日々、そういうものと「田舎」を重ね合わせていく詞世界が、このインディー・ロック特有の飾らなさにうまく融合して、それはそれは素晴らしい「全体の雰囲気」を醸し出しているんですねえ。

私事ですが、実はただいまカナダを横断するロードトリップの最中(といいつつこれは出発前に書きためてある記事)。
僕もこのアルバムの中で表現されているような「田舎」の風景・雰囲気を味わうことが少しでもできたらなと思います。

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