Next Music From Tokyo Vol. 8 @Biltmore Cabaret, Vancouver

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「音楽は国境を超える」、それはキレイゴトじゃない、それは夢であり現実だ

約9か月に及んだカナダへの留学もおしまいです。やっと日本に帰れる・・・
あまり楽しめなかったものだから、かなり前から「日本に帰ったらすることリスト」と言うものを作っておりまして。
「免許を取る」とか「誰誰と飲みに行く」とか「天一を食べる」とか。
その中に「DALLJUB STEP CLUB(以下DSC)のライブを見る」という項目をかなり前から入れていました。
そしたらなんと。この項目に関しては日本に帰る前に実現されてしまったというね。サイコー。
しかもバンクーバーでの開催は5/25と僕の帰国の4日前。これは神様に「行け」と言われているに違いないということで行ってまいりました。

このNext Music From Tokyoというイベントは年に1回開催されているイベントで、日本のライブシーンやアンダーグラウンドで話題になっているバンドをいち早くカナダに連れてくるという何とも素晴らしいイベント。
過去にはandymoriきのこ帝国ZAZEN BOYS宇宙コンビニなどがカナダをツアーしたようです。
そして今回が通算8回目。

このイベントを主催しているのはスティーブン田中さんという(多分)日系カナダ人。
なんでも自費でこの規模のイベント開催しているというからすごいですよね。
日本の小さなバンドに声をかけて、カナダまで来てもらって、4箇所も回るわけですから。

でも上の写真をご覧ください。
「物好きな外国人も来るだろうけど、まあほとんど日本人だろうな」と思っていたのに、行ってみればオーディエンスは8割がた現地の人たち。
水曜日の夜だというのにかなりの人数が来ていてライブハウス(キャパを目視で図る能力がないのでわかりませんが)はフロアの7割くらいは埋まっていたように見えました。

もちろんお目当てはDSCだったわけですが、ほかのバンドも楽しみにしていました。
ちなみにどのバンドももちろんライブを見るのは初めてですし、ラインナップを見るまでは名前を聴いたこともありませんでした。

出演順に簡単に見た感想、そしてバンドの情報を書いていこうと思います。
最後にはちょっと長いですがまとめのようなものを書きました。ここ1か月で感じていたこと。

年貢

東京出身のマス・ロック/ポスト・ロックバンド。この曲はライブの1曲目でやってた気がします。
僕はたまたまステージの下手側に立っていたのですが、ドラムが下手側、しかも袖に背を向ける形でセッティングしていたので石上宗太郎(Ds.)がよく見える位置から演奏を見ることができました。

そのドラムがやばい。えげつない。
手数、パワー、タイトさ、ショットの一つ一つの正確さがすごくて、ひたすら彼に圧倒されっぱなしでした。
思わず物販のCD「tuna body」(2015)と、今回のツアーのために作られたらしいグッズ「年貢バー」(何のことはない、手首にまくタイプのあの反射板のついた安全バンドに「年貢 nengu」と書いてあるだけのもの)を買ってしまいました。
そのうちちゃんと聴いてレビューしたいとおもいます。

こういうジャンルのライブを見たのが初めだったので衝撃度が高かったです。
現地の人たちもかなり盛り上がってました。

リーガルリリー

東京出身のガールズ3ピースバンド。なんと平均年齢18歳の上にベースの白石はるかは現役の高校生。
コチラのライブ会場は基本的に19歳以上じゃないと入場できないため、彼女たちは自分たちの出番が終わった後すぐに会場を出なければならないという旨が主催者から説明されると、会場にどよめきが。

高校生以外の何物でもないルックスからは想像もできない力強い歌声で高橋ほのか(Vo, Gt.)が一気に会場の耳を奪っていました。
緩急のついた楽曲にタイトな演奏と、この年齢でこれか・・・と末恐ろしくなるようなパフォーマンスでした。

僕の後ろにいた外人が「間違いなくこれまでの人生で見てきた中で一番キュートなバンドだ」と言っていたのが印象的でした。笑

午前3時と退屈

立川市出身の4ピース。以前は4人全員女性(このMVでもそう)だったのですが、ギターが脱退し今は女3人男1人。
リーガルリリーとはほぼ同世代で、ちょっと調べてみると日本でも何度か共演しているようです。

「立川」「ガールズバンド」「ステージ衣装が白衣」の時点でちょっと「むむっ」と思いますが、曲を聴いてみるともうどうしても赤い公園を思い出さずにはいられないというもの。
本人たちがそれをどう思うかはわかりませんが、やっぱり比べてしまうよね。
変幻自在で予測不可能、サイケデリックな曲調は初期の赤い公園にかなり近いものがあると言い切ってもいいのではないでしょうか。
あとボーカルの歌い方なんかは椎名林檎っぽかったり。特にこのMVの曲では。

ボーカルが一番小柄なのにこれまたパワフルな歌唱力。
楽器隊の演奏もかなり良くて、空間全体をこのバンドの空気に塗り替えてしまってました。

一番印象的だったのがベースの高のしま。
とにかく動き回る。見ててあきません。
そして笑顔。たまんない。リーガルリリーといい、このバンドといい、何なら赤い公園といい、何でこうもベーシストというのはかわいいんだ。
思わず視線が釘づけになってしまいました。下手サイドにいたっていうのもあるけど。
ギターのほしわたりもかなりイルな感じが出ていてサイコーでした。

音源が売り切れてしまっていたのが残念。日本でまた見に行こうかしら。

DALLJUB STEP CLUB

このバンドについては去年リリースされた「We Love You」をすでにレビューしているのでバンドについてはそちらをお読みください。

音源を聴いたときから「これはライブがやばそうだな」と思っていて、口コミでも「ヤバイ」みたいなことばかり伝わってきていて、是が非でもライブが見たかったこのバンド。

何度か見たことがあるライブ映像ではドラムが上手側に陣取っていたので頑張って転換中に上手側に移動。
そしたら会場側の都合なのか真ん中の後ろというオーソドックスな位置でGOTO(Ds.)がセッティングをはじめたので、ちょっとがっかりしちゃいました。
日本で見る時は絶対近くで見るぞ。

てなわけで、僕は完全にこのバンドではGOTOのドラムをじっくり見てやろうと意気込んていたわけでございまして。
他のメンバーがアウトオブ眼中だったというわけでは決してないのですが、彼のインパクトがとにかくすさまじかったので。

そして始まったライブ。
そしたら(それはもう当たり前のことなのですが)バンド全体としてのグルーヴ感がすごすぎて。
一瞬でした。一瞬。一瞬で飲まれました。
バックトラックを使わずにその場ですべての音を作り出している(んだと思う)すごみが伝わってきて。

そして森心言(Vo, Key.)のフロントマンとしての存在感がすさまじいライブでした。
ラップして、シンセ弾いて、それ以外の時はひたすら踊り、舞い、暴れまわる。サイコーか。
声もかっこいいしフロウもかっこいい。これはAlaska Jamも聴くしかないでしょう。

こんな動画もありまして。

そしてなんと!7/27@新宿 MRAZで!
Creepy Nutsとの対バンが決定しているじゃありませんか!!!!!!!
アツい。アツすぎる。
行きたい。行きたすぎる!てかたぶん行く。行かないバカがどこにいる。

とにかくサイコーすぎたライブでした。これは絶対東京帰っても見に行く。

MASS OF THE FERMENTING DREGS

兵庫県出身の3ピースバンド。結構キャリアは長く、2007年ころ活動開始。2012年に活動を休止、去年の年末に活動再開を発表し今に至るようです。
実はこのイベントの第2回にも出演しているようで、2回目のカナダ公演だったようです。

正直直前のDSCのライブで体力をかなり使ってしまい、その日早起きをしてしまった関係で(ようするに自業自得)この時点でかなりお疲れアンドおねむ。
わざわざカナダまでお越しいただいたバンド様に対してこれほど失礼な態度があろうか、いやない。
というわけでかなり後ろの方でゆっくり音だけ聴いて楽しんでました。

それでもサウンドの破壊力はすさまじかったです。
「新曲」だといってやっていた曲もあったので、今後音源をリリースする予定もあるのかも。

まとめ
とにかく5バンド全部がよかったし、全部楽しめた。

このバンクーバー公演が最終日ということもあってか、全バンドがMCで主催者のスティーブン田中さんに感謝の辞を述べていました。
そのスティーブンは全バンドの前に出てきてバンドを紹介し、いざ演奏が始まるとステージからダイブしたりと、心から音楽を楽しんでいることが伝わってきました。
おそらくスティーブンがインディペンデントでスポンサーもなしでやっているからこそこれだけアツくてアクのあるバンドを呼べて、そしてそのクオリティを保っていられるのでしょう。
そのクオリティを保っているからこそこのイベントにはたくさんのリピーターと熱心なファンが集まる。日本の音楽がカナダに根付いていく。
この素晴らしい音楽の伝播が、たった一人の男の情熱によって支えられているということのすごさですよね。
だから僕からも言わせてほしい。スティーブン、ありがとう!

そしてここからは少しまた長いですが、個人的にカナダで得た音楽経験のお話。
このブログで書いたかどうか忘れましたが、実は僕は4月末から5月下旬まで、バンクーバーの小さなバンドのサポートドラマーとしてカナダ全国をツアーで回っていました。

バンクーバーという街こそ中国系の移民をはじめアジア人が多いですが、一歩そこから出ればカナダという国は「他民族の国」というイメージからは程遠い、白人中心の国です。
トロントにはアジア人がまだちらほらいましたが、中部ではほとんど見かけることがありませんでした。

もちろん21世紀ですしカナダですから露骨に「イエロー」のような差別をされることはありませんが、やっぱり視線や空気感でなんだかいや感じを出されたり、「あ、俺には関心がないんだな」と感じる瞬間は多々ありました。
ライブハウスのセキュリティに「お前ホントにバンドメンバーか?」みたいなことを言われたこともあります。

それでもいざライブをして、しっかりといい演奏(と言ってもたかが知れてますが)をすれば、終わった後には「お前スゲーな!」みたいなことを言われることが多かったのです。
アジア人だから目立つし、やっぱり期待値自体が低めなんだろうけど、それでも握手やたまにはサインをねだられることもあって、「音楽って国境を超える」っていうのは本当なのかもな、と思い始めていました。

そんなことを考えながら無事ツアーを終え、このタイミングでこのイベントを見に行くことができました。

歌詞は日本語だし、MCの英語も片言だったりする。「午前3時と退屈」というバンド名なんてカナダ人は覚えられないし発音もできない。
でもいざステージ上で素晴らしい音楽を演奏すれば、観客は声をあげ、踊り、熱狂するのです。
その光景を見て「音楽は国境を超える」、それは間違いなく本当なのだと確信することができました。

まあそれは音楽だけじゃなくて映画だって文学だって絵画だってなんでも芸術というのはそういうものなのでしょうが、今回は音楽についてその現場を目撃できたというか。
すごくうれしい気持ちになりました。

こういう素晴らしいイベントがずっと続いていけばいいし、カナダ以外でもこういうイベントが開かれていったらもっともっと素晴らしいことになるのではないでしょうか。

次回開催も決まっていて、なんと初の1年に2回開催ということで次回は10月だそうです。
またしても新しい日本の音楽が、国境を超えていきます。


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Theme: LIVE、イベント - Genre: 音楽

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