Ihsahn / Arktis.

arktis.jpg
6th、2016年、ノルウェー
プログレッシヴ・メタル / ブラック・メタル
AmazoniTunes(Apple Musicあり)
★★★★★

なんでもあり!しかもおしなべて高クオリティ

ブラック・メタルってなんだか怖くて聞けないんですよ。
あ、別に悪魔崇拝が怖いとか殺人事件が怖いとかじゃなくって(充分怖いけれど)、なんだか「あらゆる音楽を極めた人が行き着く境地」みたいなイメージがあって。
僕みたいな不束者が軽い気持ちで手を出して言いジャンルじゃない気がしていたんです。

このIhsahnというのはノルウェーのブラック・メタルバンド、Emperorの中心人物。
このバンドは殺人とか放火でメンバーの3人が逮捕されるというなかなかエクストリームなバンドなんですが、このIhsahnは犯罪行為に「興味を示さなかった」そうです。
なんだよそれ。逆に一番怖えよ。笑

そんな彼の通算6枚目となるソロアルバムがこちら。
もちろんブラック・メタルなんてちゃんと聞いたことがないものだから、はじめてづくしです。

でもこのアルバムはなにより、別にブラック・メタル一辺倒じゃないところがすごい。
Ihsahnのボーカルのスタイルがやっぱりブラック・メタル然としたスクリームなので、あくまで聴き心地はブラック・メタルのそれなのですが、味付けに様々なジャンルのメタル(メタル以外)のジャンルが使われていて、聴いていて次に何が来るのかが予測不可能で刺激的でした。

#7"Pressure"の中間部では「これぞシンフォニック・ブラック・メタル!」というような冷たいストリングスの音とブラストビートの炸裂を聴くことができるのですが、#2"Mass Darkness"のイントロはまさに正統派メタルのそれだし、#4"South Winds"は曲全体の雰囲気がインダストリアル・メタルっぽかったり、#6"Until I Too Dissolve"のイントロのリフは80’sのヘア・メタルの雰囲気すらまとってたりする。

極めつけはサックスを大胆不敵に取り入れた#9"Crooked Red Line"。
完全にジャズ。


そして驚くべきは、これほど雑多なジャンルに節操もなくチャレンジしているのにもかかわらず、それを驚くべきほどの高い水準のクオリティにまとめ上げている点です。
平たく言うと曲がめちゃくちゃいい。やばい。
メロディアスな曲からヘヴィな曲まで、あるいは一曲のうちにメロディアスなパートとヘヴィなパートの行き来があったりと、本当に自由な曲が多いのに混乱したりせずにちゃんと聴けるし。
この才能には末恐ろしさすら感じます。

でも、僕がこのような感想を持つようになったのは5回くらい通して聴いてからのこと。
それまでは正直「ピンと来なかった」んです。
即効性のある曲はそんなにないかもしれませんが、じっくり聴き込めば聴き込むほどすごさがわかる類の作品なのかもしれません。
あるいは僕がこういう音楽を始めて聴いたからなのかもしれませんが。

一番シビれた曲は#10"Celestial Violence"。

静かに、そして美しいメロディとともに始まるこの曲。
その静けさはギターの轟音によってかき消され、そのあとも美と激のコントラストによって壮大な音世界が構築されていきます。
#3"My Heart Is Of The North"も同系統の曲で素晴らしいです。

聴いていてあと印象的だったのがドラム。
スネアの湿ったような独特の音作りに、手数の多い独特なグルーヴ。聴いていくうちにクセになる感じはおそらくこのドラマーの果たす役割が大きいと思います。
Tobias Ørnes Andersenという方らしいです。これまでの作品にも参加している模様。
ノルウェーのエクスペリメンタル・ジャズバンドShiningのメンバー(#9でサックスを吹いてるのもこのバンドのメンバーのようです)だそうで。通りで上手いわけだ。

非常に濃密な作品です。ぜひ!オススメです。


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