帰ってきたヒトラー

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2016年(ドイツ公開は2015年)
監督: デヴィッド・ヴェント
出演: オリヴァー・マスッチ、ファビアン・ブッシュ、カッチャ・リーマン
劇場公開中
★★★☆☆+α

笑って始まって怯えて終わる

感情が忙しかったです。

<あらすじ>
ヒトラーの姿をした男が突如街に現れたら?「不謹慎なコスプレ男?」顔が似ていれば、「モノマネ芸人?」。リストラされたテレビマンに発掘され、復帰の足がかりにテレビ出演させられた男は、長い沈黙の後、とんでもない演説を繰り出し、視聴者のドギモを抜く。自信に満ちた演説は、かつてのヒトラーを模した完成度の高い芸と認識され、過激な毒演は、ユーモラスで真理をついていると話題になり、大衆の心を掴み始める。しかし、皆気づいていなかった。彼がタイムスリップしてきた〈ホンモノ〉で、70年前と全く変わっていないことを。そして、天才扇動者である彼にとって、現代のネット社会は願ってもない環境であることを―。



いや~めちゃ人気ですね。
見ようとしてた回が満席で一回待ちましたもん。

ドイツでベストセラーとなった同名小説の映画化です。

「ヒトラーが現代にタイムスリップしてくる」という設定を聴いたときには「はいはいB級映画ね」と思っていたのですが、かなりしっかりした作品に仕上がっているという事前情報も多く、かなり期待値高めで映画館に向かいました。
「エクス・マキナ」を見に行った同じ日に見に行ったのですが、結果こっちの映画もすごく頭を使わされる映画で、家に帰るころにはクタクタになってしまいました。笑

特にストーリーらしいストーリーもない映画なので核心を突くネタバレというのはないのですが、以下は映画を見た前提で感想を書いていくので、未見の方はご了承ください。別に読んでから見てもそんなに支障はないとは思いますが。



では。
まず、この映画がドキュメンタリーを模したフィクション、通称<モキュメンタリ―>タッチで描かれているのが非常に効果的。
最近も宇多丸氏のラジオで「モキュメンタリー特集」が組まれるほどよく使われている手法ですが、この映画では伝えたいメッセージも相まって非常に意味のある選択だったと思います。
街頭で半ばゲリラ的に撮影されたと思われる場面も多く、インタビューでは「リアルな」民衆の意見が聞けます。
「才能のある指導者さえ現れれば、いつでもナチスのような狂気が出現する可能性はある」というメッセージが怖いくらいのリアリティをもって立ち上がってきます。

どこまでが真実でどこからがフィクションなのか、どこまでがリアルなドキュメンタリーでどこからが台本がある部分なのか、(特にドイツ国外の人にとっては)その境界線が見ているうちにどんどんファジーになっていく感じがすごく恐怖でしたし、それを脳内で処理しながら見るので非常にエネルギーを使います。

特に後半以降は原作小説やその映画化のプロセスすら作品に取り込んでいっていて、メタ的要素も出てきます。一瞬「あ、これは手に負えない」と脳が判断してついていけなる瞬間がありました。
ある意味ブレインファックともいえる展開でしたね、あれは。

もちろんこれはコメディ映画(の体をとっている)なので、笑えるシーンはとにかく満載。
「現代に降り立ったヒトラー」という設定を使った笑いはもうすべてやり切っている、といっても過言ではないくらいの濃さ。
薄型テレビに驚いたり、インターネットに四苦八苦したりするところからはじまり、現代のテレビのつまらなさや政治をバッサバッサ斬っていったりしていて、とにかくフツーに笑えるんです。この笑いがあとから効いてくるんですけど。

でもやっぱり一番笑いが起こっていたのは「ヒトラー~最期の12日間~」のあのシーンのパロディシーンでしたね。
こういうネタ動画ですっかりおなじみになっているあのシーンのパロディ。

ほぼ完コピで、とにかくサイコーでした。
てかこのシーンって海外でもネタにされてるのね。

これだけ笑わせておいて、後半の展開はアレだもんなぁ。ずるい。
前半で笑えば笑った分、後半のパンチが効いてきます。キャッチコピーの「笑うな危険」通り。

文句を言うとすれば、中盤が少し中だるみしすぎ。
主人公たちの思惑が見えないし、物語もあまり進行しない。ここでの疲れもちょっと後半で効いてきちゃうんだよな。

でもそれ以外はめちゃくちゃ笑えてめちゃくちゃ考えさせられる、めちゃくちゃいい映画でした。
必見!!


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