RHYMESTER / リスペクト

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3rd、1999年、日本
ヒップ・ホップ
★★★★★

パンチライン満載の徹底的クラシック

いまさら聞いたこの定番中の定番、クラシック中のクラシック。

前回レビューした彼らの作品はデビュー作の「俺に言わせりゃ」(1993年)。
まだまだ今の彼らの方向性に落ち着く前の作品で、正直言って聞いていてもあまりピンとこない作品でした。
その後2ndアルバム「EGOTOPIA」(1995年)を経て、DJ JINが加入するなど現在の形に近づいてきたRHYMESTER。
そんな彼らが確固たるスタイルと地位を確立したのが3枚目にして怒涛の名盤であるこの「リスペクト」です。

全ライムパンチラインにしてやろうか、という気迫すら感じる(事実ベストアルバムの解説の中で#4"B-BOYイズム"についてそういう旨のことを宇多丸氏が言っていた気がします)彼らの曲からは、日本語ラップ黎明期~発展期の熱い熱い雰囲気を感じ取ることができます。

アッパーなトラックが少ない分通して聴くと疲れてしまうのは確かで、構成力という意味で言うとまだ未熟なのかも。
でもそれを補って余りあるパンチライン・名トラックの数々。パンチラインの玉手箱やぁ~。古っ。

そんな名曲たちを一曲ずつパンチラインとともに紹介していきましょうか。
イントロダクションの#1"R.E.S.P.E.C.T."は省略。

#2"キングオブステージ"
最高峰No.1グループ The King Of Stage”(フック)
百万人対たった三人”(Mummy-D)
R.E.S.P.E.C.T.しとくべき ジャパニーズヒップホップシーン”(宇多丸)
ガキの頃から口喧嘩じゃ負け知らず”(宇多丸)
これぞ未来に遺すべき Made in Japan イチバーン!”(宇多丸)

タイトルからしてパンチラインですね。アルバム3枚出しただけの若手がこんなこと言ってたわけですから。
それが今となっては名実ともにステージの王者ですからね。有言実行。スバラシイ。
トラックもどっしりしててサイコー。スネアの音が鋭くてよい。

#3"「B」の定義" feat. CRAZY-A
"ブレイクビーツ聴いてはじけりゃいい 「BREAK」INGの「B」"(CRAZY-A)

このCRAZY-Aって人は何でも「日本初のBボーイ」であり、B BOY PARKの創始者らしい。
この後の曲に向けて最高すぎるつなぎたと思いませんか。思いますよね。

#4"B-BOYイズム"

消して譲れないぜこの美学 何物にも媚びず己を磨く”(フック)
俺の名前はB-BOY 神の申し子”(Mummy-D)
目クソ鼻クソのカテゴライズ 耳クソの価値もない”(Mummy-D)
数はともかく心は少数派 俺たちだけに聴こえる特殊な電波”(宇多丸)
俺の名前は黄色いB-BOY ハンパなくNo.1”(Mummy-D)
傘もささずに歩く土砂降りの中を 見ろよこの晴れやかな顔”(宇多丸&Mummy-D)
イビツにひずむ俺イズムのイビツこそ自らと気づく”(Mummy-D)
栄光なき天才たちに捧ぐ僕からの鎮魂歌 または消して屈せざる奴らの国歌”(宇多丸)

日本のヒップホップが好きな人なら間違いなく全員が合唱できるフック。
日本のヒップホップが好きな人なら間違いなく全員が聴いた瞬間わかるイントロ。
日本のヒップホップが好きな人なら間違いなく全員がアガるパンチライン満載のラップ。
日本のヒップホップが好きな人なら間違いなく全員が首を振らす名トラック。
いうべきことは何も残されてない名曲中の名曲。

#5"麦の海"

その金色の光放つ液体は 約六千年前この星に出来た”(宇多丸)
そしてお前はまたやって来た性懲りも無く”(Mummy-D)

ビール賛歌。よってパンチラインらしいパンチラインも少なし。
でもビールを海に例えたMummy-Dのバースは秀逸で聴いててすごくかっこいい。さすがヨッパライのサムライマー。

#6"Hey, DJ JIN"
この音楽の素晴らしい精神受け継いだ 超逞しい精子 今じゃ立派に育ち成人”(宇多丸)
"奴が究極のワンマンバンド"(Mummy-D)
黒いヴァイナルの上でドリフト”(Mummy-D)

ひたすらDJ JINを褒めたたえる曲。
それだけじゃなくてそれぞれのライムにきちんとDJ JINが反応してそのネタをこすったりかけたりするのがニクい。このこの~!
彼らがいまだにこだわる、あくまで2枚使いのライブスタイルに対するこだわりを感じます。
めちゃくちゃかっこいいじゃないすか。

#7"マイクの刺客-DJ JIN 劇画REMIX-"
乱れた長髪束ね磨かれた刀を調達”(Mummy-D)
坊主頭が似合う破壊者 標的は日本株式会社”(宇多丸)
中指立ててろ不良らしく ただしいつでも礼儀正しく”(宇多丸)

「REMIX」っていうくらいだからオリジナルがあるの?と思って調べたら出てきました。

俺は劇画REMIXのビートのほうが好きだなあ。
あと「時代劇」というテーマがこの二人にぴったり合ってる。言葉選びがいちいちかっこいいぞ。

#8"野生の証明"
ここいらじゃよくある物語”(Mummy-D)
神が始めた伝言ゲーム 辿りますか 全ての根源”(宇多丸)

Mummy-Dのバースは、動物の狩りの様子をストリーテリングしながら意味を全部通しながら、それでいて全部最後「り」で落とすという神業をやってのけてます。
宇多丸はこの間のタマフルでも「自分で」言ってましたがこういう「遺伝子ラップ」が得意技だそうで。KIRINJIとのコラボ曲”The Great Journey”にもつながる部分らしいです。

#9"ブラザーズ" feat. KOHEI JAPAN

頭文字D,KとU 三羽烏 We are the brothers”(Mummy-D)
甘いバニラのようで 実はレバニラのようなクセ持つフロウ”(KOHEI JAPAN)
歌詞で勝負 常に前進中 俺らブラザーズ 音と心中”(KOHEI JAPAN)
ヘアスタイルの完成系 無駄ひとつない流線型 描く頭蓋骨”(宇多丸)

これMVあったんですね。しかも結構かっこいい。
KOHEI JAPANはMummy-Dの弟。三者三様のライム&フローでちょっと長いけど飽きないです。
トラックもすげえアダルディーでいいっす。

#10"ビッグ・ウェンズデー" feat. MAKI The MAGIC

"上がってこうぜ っていうかまず出来上がってこうぜ"(Mummy-D)
ダンスフロアの子猫チャン達 振り撒くフェロモンで常に半勃ち きっとあの子もトベトベツチノコ”(宇多丸)
メンタリー成人男子校生 クソガキそのままの嗜好性”(宇多丸)
飲み直さないか? バーかどっかで シカトかよブス 来いや明後日”(Mummy-D)

「夜のクラブもの」。この曲パート2もあるんですがそっちもすごくいいですよね。
こういうナイトライフを送ってみたいものです。学生生活もあと1年半・・・

#11"隣の芝生にホール・イン・ワン" feat. BOY-KEN

さあ、旦那には内緒でNice shot!! 据え膳食べるしか無いっしょ”(宇多丸)
Two years ago a friend of mine 浮ついた話にゃ縁の無いマイメンの体験談”(Mummy-D)
ファイト始める天使と悪魔 勝負がつくのは瞬く間”(Mummy-D)
赤い糸こそ真っ赤な嘘”(宇多丸)

不倫賛歌。いやんなっちゃうね~。この曲は面白いからいいけどね。
「隣の芝生にホール・イン・ワン」ってサイコーの言い回しだね。

#12"敗者復活戦"
そんな思いを胸にステージに立つ サウンドのグラウンドにて必ず勝つ”(Mummy-D)
最後のページ開き書く一行 畜生! そしてとめどなく言葉綴る 誰のためでもなく”(宇多丸)

二人ともストーリーテリングに徹してるからか、どっちもケツの一行がどっちもかっこいい。

#13"耳ヲ貸スベキ"

Mummy-Dの名MC①。まだだ!

血が騒ぎ出すこの世紀末 暇な奴らは神の裁き待つ”(宇多丸)
東より始まる文明開化 西を固める深い理解者 南でその日待つまだ見ぬダイヤ 北の地下深く技磨くライマー”(Mummy-D)
曲がりくねり続く道のり 結び始める実り 来たるべき世代に託す祈り”(Mummy-D)
つまりゲームの脱落者 なりたくなきゃてめえが何かしなくちゃ”(宇多丸)

この「耳ヲ貸スベキ」っていう言葉、もともとは宇多丸がライブでフリースタイル(今の意味とは少し違う)をやるときに英語の「Check it out」をうまく和訳したものとして使ってたものらしい。なにそのセンス。素晴らしすぎる。
ウッドベースとフルートのリピートのトラックも鬼かっこいいし。これぞ日本語ラップクラシック!!

#14"リスペクト" feat. ラッパ我リヤ

Mummy-Dの名MC②。金じゃないんだよほんとに!

次の次元行けるように 豪傑同士結合し曲げる鉄格子”(Q)
練習と研究忘れん連中に 初めて当て嵌まる尊敬の四文字”(Q)
探し出す自分の方程式 正解は誰も見た事ねえ景色”(宇多丸)
まさしく先見の明 教訓1はズバリ Fuck世間の目”(宇多丸)
機械じゃねえんだ人間 嫌いじゃねえが 失敗や失態はやってきたぜいっぱい”(山田マン)
ますます栄えるこの文化を 支える奴らを讃える”(山田マン)
スカスカのクラブにて組むスクラム 常に仲間と何か企む”(Mummy-D)
求めるものはいまだ変わらず 与えるものは今も変わらず”(Mummy-D)

これも文句なしの名曲なんだよな。「リスペクト」という言葉の真髄がすべてこの曲に詰まってる。似たようなこと最近どっかで言ったな。

・・・ってここまで個人的パンチラインをひたすら書き出してみたけど文字だけよりも絶対音に乗せて聴いたほうがいい。
シケた「一見」吹き飛ばすオレの「百聞」。あ、これも宇多丸氏のパンチラインだった。

耳を貸して聴くベキ。絶対に。


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