降神 / 降神

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1st、2003年、日本
ヒップ・ホップ
★★★★☆

なんともいびつで唯一無二

言わずと知れた日本語ラップ界の帝王RHYMESTERの三人を筆頭に、KEN THE 390ジェーン・スーなどを輩出している早稲田大学の名門サークル、ギャラクシー
そんなギャラクシーで結成されたなのるなもない志人の二人によるユニットがこの降神で、その1枚目のアルバムがこちらの作品。

とにかく異端です。プログレッシヴ・ヒップ・ホップと表現してもいいくらいのヘンテコさ。
とにかくこのなのるもなもないと志人という二人のラッパーがすごすぎます。

変幻自在のフロウにどんどん畳みかけるような言葉数、明らかにブリってるとしか思えない(「七つ葉のクローバー」などの言葉から明らか)ワードチョイスのイルさ。
二人のラップのフリーキーさに合わせるように曲の中で二転三転するトラック(onimasなる人物が多くを担当、かなりアブストラクトな感じでサイコー)も相まって、まさに何かクスリ的なものをキメている時のような感覚を味わうことができます。
これほどまでに自分たちの世界観を持ち、なおかつ聴き手をその世界に引きずり込むことのできる力量を持ったアーティストってなかなかいないと思います。はっきり言いますが天才です。

この二人に関しては調べてもあまり情報が出てこないのですが、どうやら二人ともフリースタイルも得意としているラッパーであり、それはこの作品を聴いても納得がいく点だと思います。言葉の出方、並べ方が完全にフリースタイルのそれ。
「これが出た、じゃあこれで踏める」と言葉を並べ、それでいて曲として破たんしないギリギリのところで言葉をコントロール下に置きながらラップをする。こりゃハッパの力借りなきゃできませんわ。

「演劇的と称されるライブ」と紹介される彼らですが、まず音源の時点でその雰囲気を持ち合わせています。
特に、時に歌をも織り交ぜた志人のフロウは本当にヒップ・ホップという枠組みだけではとらえきれないほど。「玉兎」というオルターエゴも持ち合わせているらしく、このアルバムの中でも現れたりしてます。発声の仕方もどこかシアトリカルです。
最近ではラップだけにとらわれない活動を展開し、はっきり言って完全にフォローできる気がしません。この人最近何してるんですか。
その中でももう一人のMC・なのるなもないは志人に比べるといくらか正統派(それでもだいぶスキルフルでフリーキーでイルですが)なラップを聞かせてくれて、作品の中でもこの二人の押し引きが聴かれて作品に立体感が生まれてます。

立体感ということで言えば、左右チャンネルを行き来するようなエフェクトが随所にちりばめられていて、それがまた中毒性を上げています。

#3"夢幻"

煙minal minded 革命家 眠りという名の時間の隠れ家へと忍び込む
歌わないと生きてけないし 素だと見れない人の目 ないしは認められない人の心”

Tarzanなる人物によるまるで眠りにいざなうような最高にチルいトラックがとにかくいいですね。この作品は二人のラップがすごすぎるというのもありますが、トラックの醸し出す雰囲気によるところも大きいと思うんです。

#7”悪夢街のエルム”
YouTubeに音源がなかったのですが、今作の中でも僕の個人的ベストトラックです。
なのるなもないのクールなラップから始まるんですが、志人のヴァースから曲はドラマティックに展開していき、歌い手と聴き手両方の内面をガッツリえぐるようなエモーショナルな曲へと変貌を遂げます。
最終的には玉兎という志人のオルターエゴまで出現し、なのるなもないのこれまたエモーショナルなヴァースで幕を閉じる。
まるで映画のように二重にも三重にも展開していくような疑似トリップ体験。
これを聴いたらもうこのアーティストのとりこになってしまうこと間違いなし。

#12"お尋ね者"

この作品の中でもかなり一般のリスナーでもとっつきやすい一曲。
韻踏合組合ERONE(当時はエローンざ尋と名乗っていました)とMSCMC漢が参加しています。
4人ともキレキレのラップで文句なし。トラックもウルトラクール。

一般のリスナーにはとっつきにくいことは百も承知ですが、こういうカッコよさもあるんだということを(ヒップ・ホップを普段聴かない人たちには特に)知ってほしいですね。
僕は完全にやられました。


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