LIBRO / 風光る

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4th、2016年、日本
ヒップ・ホップ
★★★★☆+α

オリジナリティを突き詰めてたどり着いた日本語ラップの到達点

#5"NEW" feat. ポチョムキン
持ってるオリジナリティー 他と異なるまずそれありき

 「日本語ラップの到達点」というフレーズでまず思い出すのはAKLOでしょう。
本場アメリカの流行のトラックやフロウを日本語に落とし込んで堂々とラップする彼の姿は確かに「最高到達点」と呼ぶにふさわしいものです。
しかし、それとは対をなすスタイルとして「日本語ラップならでは」の表現を追求する人たちがいることも確か。
その「日本語ラップならでは」という感覚を言語化するのは非常に難しいのですが、それに対する非常に真摯なアンサーがこのLIBROの最新作「風光る」です。



彼の持っているオリジナリティー、言い換えるならばそれが「日本語ラップらしさ」なのですが、それを無理やり言葉にするとそれは「丸さ」だと思います。
サンプリング主体の(時にはレコードノイズ交じりの)やわらかいビートにメロディアスなフロウ、あくまで日本語にこだわったリリック。
我々日本人の心にガッツリ響いて、それでいて優しく侵入してくる。
特に全編にわたって聴かれるピアノの音色がなんとも「丸」くて思わず再生ボタンに指が動く。
繰り返し繰り返し聴きたくなるような一枚です。つべこべ理屈は抜きで全人類に聴いてほしいヒップ・ホップ。

客演陣も豪華。
#2"オンリー NO.1 アンダーグラウンド"では漢 a.k.a. GAMIがLIBROとある意味対極をなすひたすらかっこいい早口アンダーグラウンドラップを披露。意外な組み合わせながらなぜかピタリと合致してるこのコンビネーション。サイコーです。

#5”NEW”では餓鬼レンジャーのポチョムキンが参加。LIBRO自身「声質やスタイルが限りなく自分に近い」と語るこの二人の競演。
こちらは順当にピタリとマッチしているコラボレーション。間違いないです。

#6"永久高炉"ではDJ BAKUがスクラッチで参加。比較的アッパーな前半と落ち着いた後半をつなぐインタールードとしてこれ以上ない仕上がりになってます。

#8"花道"には小林勝行が参加。先日のフリースタイルダンジョン内でCHICO CARLITOが「俺の一枚」として小林勝行の「神戸薔薇尻」(2011年)を紹介していましたね。僕は不勉強で全然知らない人なんですが、前作「COMPLETED TUNING」(2014年)でもコラボしているらしく。
LIBROの持つブルージーな側面にうまくマッチするいいバース蹴ってます。

#9”熱病”には5lackが参加。個人的にはかなりお気に入りの一曲。
LIBROも「5lackっぽいビートだと思ってオファーした」というエレピがサイコーにチルいトラックに5lackのリスペクトたっぷりのラップがこれまた狙い通り寸分たがわずマッチ。

#10”通りの魔法使い”に参加しているのは仙人拳
これほど温かみを感じるトラックというのもそうそうあるものじゃありません。ラップからも滲み出る温かみ。

こうやって見てみるとLIBROというアーティストの懐の広さ、リーチの長さ、表現者としての奥深さがよくわかります。
日本のヒップホップ界になくてはならない存在。

また、#7"キミは天を行く"#13"てん"では9sari cafeで飼われていた猫の10(てん)について歌われた歌。
昨年2月に亡くなってしまった「てん」に対する深い愛が伝わってくるし、それを直接は言っていないので聴き手は自由に自分の愛するものに置き換えて解釈ができる。
あー猫飼いたい。

日本語ラップ好きはもちろん、いい音楽が好きな人は全員聴いてほしい作品でした。


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