怒り

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2016年公開
監督
李相日(「悪人」)
出演
渡辺謙(「硫黄島からの手紙」)
森山未來(「モテキ」)
松山ケンイチ(「人のセックスを笑うな」)
綾野剛(「横道世之介」)
広瀬すず(「海街diary」)
佐久本宝
ピエール瀧(「凶悪」)
宮崎あおい(「神様のカルテ」)
妻夫木聡(「ウォーターボーイズ」)
高畑充希(「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」)
劇場公開中
★★★★★

豪華キャストはこう使え!!

全員の演技のアンサンブルがすごいことになってる。

<あらすじ>
八王子で起きた凄惨な殺人事件の現場には「怒」の血文字が残され、事件から1年が経過しても未解決のままだった。洋平と娘の愛子が暮らす千葉の漁港で田代と名乗る青年が働き始め、やがて彼は愛子と恋仲になる。洋平は娘の幸せを願うも前歴不詳の田代の素性に不安を抱いていた折り、ニュースで報じられる八王子の殺人事件の続報に目が留まり……。


主役級が勢ぞろいした豪華キャスト陣、そして李相日監督、そして坂本龍一が音楽担当と、とにかく公開される前から注目間違いなし、といった感じのこの作品。

陳腐な言い回しですが「重厚」という形容詞がぴったりな、素晴らしい作品でした。

シン・ゴジラ」「ヒメアノ~ル」「葛城事件」と、今年劇場に見に行く邦画がことごとく素晴らしい作品(個人的には気に入りませんが「君の名は。」も記録的大ヒットですし)ですが、また一つすらばらしい作品が爆誕。

前回取り上げた「スーサイド・スクワッド」とこの映画をレンチャンで見たのですが、かなり疲れた状態で劇場に入ったにもかかわらず、2本目のこちらは全然眠くもならず最後まで見れました。2時間22分という長い上映時間も関係なし。

「怒り」というタイトル。シンプルです。
「怒り」とは感情。登場人物たちは物語の中で出会い、知り、愛し、笑い、疑い、信じ、そして怒る。
この感情のジェットコースターこそがこの映画の魅力です。

ですからこのジェットコースターを設計した原作者の吉田修一、そして実際にジェットコースターを作り上げた監督の李相日、そしてそれを実際に走らせたキャスト陣、この歯車一つ一つが最強にかみ合ってこそ出来上がった最高のアトラクションがこの映画なのです。
このジェットコースターに乗ったら最後、一緒に感情ぐちゃぐちゃにされますよ。
僕はこの映画見終わってもう3日が経ちますが、いまだにこれを引きずっています。なんだかずっと胸の中に残ってます。
これほどのインパクトを残せる映画ってなかなかない。

とにかくキャストが素晴らしい仕事をしています。
李相日監督は演技指導が厳しいことで有名らしいのでその成果なのでしょうが、ここまでのポテンシャルを持っている役者も、それを最大限引き出した監督もすごい。もう全員すごい(めんどくさくなった)!!!
結構寄りのカットが多いんですが、それで画が持つというまず豪華さね。

まず、綾野剛・松山ケンイチ・森山未來の「犯人候補」トリオ。
「いい人そう、信じたい、でも、ああ・・・」という絶妙に影を持ち合わせた人間たちを見事に演じ切ってます。
みんなそれぞれいい感じに人当たりが良くて、いい感じに胡散臭い。
ここの説得力がなかったらこの映画は成立しないわけですから。大きな拍手を。

そして、広瀬すずと佐久本宝の沖縄の高校生コンビ。
広瀬すずはもう本当に大したもんですね。「ちはやふる」「四月は君の嘘」だけじゃなくってこんな役までこなすわけですから。
あのレイプのシーンなんかは本当に壮絶。観客の「怒り」がピークに達するあのシーン。見てて本当に嫌な気持ちになりました。もちろんほめてます。ここまで観客の感情を揺さぶれるのかと。
そしてこの豪華キャストの中で唯一の全くの無名、佐久本宝(さくもとたから)。
オーディションを勝ち抜き見事映画出演を決めた彼ですが、彼もまたすごい。
絶妙な高校生らしい青臭さと、そのなかで必死にもがいている感情。非常に味わい深いキャラクター。見てもらえればわかるんですが、映画のキーとなる非常に重要な役です。見事に演じ切っています。拍手です。今後ブレイクしていってもおかしくないですね。

そしてもう一人、決して目立つ役ではないのですが印象的だった役者さんが、高畑充希。
妻夫木聡演じる優馬にある真実を告げるという場面だけ(多分3分くらい)の登場なのですが、僕はぐっと胸をつかまれましたね。
まずかわいい。
そして、気が動転する優馬に対して「落ち着いてください、まずは座ってください」(大意)というセリフがあるのですが、この説得力というか、異様な落ち着きというか、それがキャラクターやこの人の背景(劇中で明らかになる)と絶妙にマッチしていて。
この人のほかの作品を見たことがないので普段からこういう話し方なのか、演技のうまさなのかはわかりませんが、この映画のこの場面のこのキャラクターには彼女以外考えられません。素晴らしいシーンでした。この映画の中でも1、2を争うくらい胸に来た場面でした。

ほかにも「こういうちょっとやばそうな(失礼)女の子いる!!特に田舎には!!」っていう感じが絶妙に素晴らしかった宮崎あおいや、「お父ちゃん」っぷりがこれまた素晴らしかった渡辺謙など、とにかくキャスト陣のすごさがこの映画のすごさ、と言い切ってしまいたいくらいの映画でした。
役者ってすげえなって改めて思いました。
みんな、豪華キャストはここまで使い切って初めて大成功するんだからな!!!

そして映像も素晴らしくきれいでしたね。
沖縄の無人島、ゲイの集まるクラブ、ハッテン場、房総半島の港町、那覇市内の繁華街、高台にある墓地・・・とにかくロケーションの一つ一つが素晴らしく美しい。

そして音楽ですよ。坂本龍一パイセンの。
Apple Musicでサントラ聴けるんで鑑賞後聞いてみてください。一つ一つのシーンが脳内によみがえってきて涙が止まりませんよ。
そしてエンディングテーマには2CELLOSが参加してるんですね。

まだ1回しか見てないので感想はこれくらいしか書けませんが、2回目見て、そしてこれまた素晴らしいという原作小説も読んだら、「読んだ本」のレビューの方でまたこの物語について語ってみたいと思います。

とにかくまたまた邦画界を塗り替えるような大傑作が劇場公開されているので、見に行く以外の選択肢がありませんよ日本中のみなさん。
なんならチケット奢ろうか?


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