ハドソン川の奇跡

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原題: Sully
2016年公開
監督
クリント・イーストウッド(「アメリカン・スナイパー」「グラン・トリノ」)
出演
トム・ハンクス(「キャプテン・フィリップス」「アポロ13」)
アーロン・エッカート(「ダークナイト」)
ローラ・リニー(「ユー・キャン・カウント・オン・ミー」)
ほか
劇場公開中
★☆☆☆☆

劇場版「奇跡体験!アンビリーバボー」

ド頭にビートたけしが出てくるよ。(大嘘)

<あらすじ>
2009年1月15日、真冬のニューヨークで、安全第一がモットーのベテラン操縦士サレンバーガー機長は、いつものように操縦席へ向かう。飛行機は無事に離陸したものの、マンハッタンの上空わずか850メートルという低空地点で急にエンジンが停止してしまう。このまま墜落すれば、乗客はおろか、ニューヨーク市民にも甚大な被害が及ぶ状況で彼が下した決断は、ハドソン川への着水だった。


「クリント・イーストウッド監督×トム・ハンクス主演」
こんな魅力的な文字列ってなかなかない。
意外にも初めてのタッグを組んだ映画鉄人二人が挑むのは、あの「ハドソン川不時着事件」。

トム・ハンクスが機長といえば思わず「アポロ13」(1995年)「キャプテン・フィリップス」(2013年)という名作がこれまでにあるし、クリント・イーストウッドが実話を題材にしたとなれば「父親たちの星条旗」(2006年)「硫黄島からの手紙」(2006年)がある。
「トム・ハンクス」「クリント・イーストウッド」「実話」というこの3つのキーワードだけで、これだけの名作が脳裏によぎるし、いやおうなしに期待値はブン上がるわけですよ。

完っっっ全に裏切られたぜ!!!!

「奇跡体験!アンビリバボー」「ザ!世界仰天ニュース」の2時間スペシャルでも見ているような気分になりました。
途中から右下にバナナマンや剛力彩芽のワイプがうっすら出てきました。(大嘘)

もちろんこのお話というのはものすごくいい話なんです。美談中の美談。そこを否定するつもりは毛頭ない。
でも、それをそのまんま映画にしたところでそれが「映画」として素晴らしい出来になるのか、と問われると「う~ん」と首をひねらざるを得ないのです。

まず大きな課題として、「この事件のことをみんな知りすぎている」という点があります。
事故から7年は経過しているとはいえ、この事故のあまりのインパクトの大きさゆえこのことは人々の記憶に深く刻み込まれていて、「全員助かる」「機長がすごい」みたいな基本的情報はみんなすでに持ち合わせてしまっているんですよね。
その点「キャプテン・フィリップス」はあまり知られていない事件だったこともあって、それを事細かに描くことで素晴らしい映画になっているのです。

まあ、もちろんこの映画は「飛行機がハドソン川に不時着して、全員無事だった」というところが売りではなくて、さすがに「そのあと、実は!」というところを描こうとしているのですが、が。
肝心のそこがはっきり言って面白くない!!!!

①中途半端な家族描写、回想シーン
いきなり最初の取り調べシーンで「家庭内で問題は?」という尋問があったり、意味深に家のローンの話を電話口でしていたり、意味不明に副業の話をふわっと触ったり、そのあとに全く影響してこない回想シーン(2度だけ)が挟み込まれたり。
え、なに?妻とか娘と仲悪いの?お金困ってるの?へー、昔から操縦うまかったんだ~。
と、いう物語の本筋とはあまり関係のない「ノイズ」になってしまってどうも物語が全体として盛り上がっていかないんですよね。

②肝心の切り札が「え、それ?」
無事に乗客全員を生還させた「ヒーロー」のはずが、乗客全員を危険にさらした「容疑者」に・・・?
というところが一応この映画の本筋。
が。
最後の最後、公聴会のシーンでこれまでの議論をひっくり返すために機長たちが持ち出す理論が、「???」。
いや、それ組み込まれてなかったんかい。それ考えてなかったんかい。バカかい。あんなもんシミュレーションの際に真っ先に入れるようなことだろうに。これが実話だということにも驚きですし。
そこに決定的なカタルシスがないまま、副機長の爆笑ジョークで幕が落ちるというなんとも締まりのないエンディング。全く感情を揺さぶられませんでした。
本当にアンビリーバボーを見て、リビングで「へー」と言っている感覚。その域を出てないんですよ。エンドロールが流れ始めた時には「まじかよ」と思いました。

他にも「ただただ走るだけ」というありきたりな葛藤表現や無駄な観客の描写などなど、とにかくどこを取ってもダメな映画でした。
「映画」というものに僕らが求める「物語性」が全くと言っていいほど欠如したただの「再現VTR」でした。

トム・ハンクスの演技は相変わらず素晴らしかっただけに残念。
あと副機長役のアーロン・エッカートが悪人顔なため、どうも最後まで乗りにくいというところもあったり。

ああ、どこまでも残念な一本でした。
どうしたんだい、クリント・イーストウッド!?


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