BAD HOP / BAD HOP 1 DAY

badhopallday.jpg
2nd Mix Tape、2016年、日本
ヒップ・ホップ
★★★★★

新世代の先頭を走るスター

こいつにはやられた。

<まずこの一曲>

"俺らの音楽はLife Style"

川崎南部をレペゼンする9人組クルー、BAD HOP。
高校生ラップ選手権で2度の栄冠に輝き、今では「フリースタイルダンジョン」のモンスターとして活躍しているT-Pablow、そして彼の双子の弟であり同じく高校生ラップ選手権で優勝しているYZERRが所属していると聞けば、最近ラップに興味を持ち始めた人でも「おっ」と思うでしょう。
そんなBAD HOPが「BAD HOP ERA」(2014年)、「BAD HOP」(2015年)という2枚のアルバム、そして「BADHOPBOX」(2014年)というミックステープに続けてリリースした最新音源。

彼らの第一印象は、正直あまりいいものではありませんでした。
「フリースタイルダンジョン」でのライブ出演を見た時も、新宿STREET2016でライブを生で見た時も、「ただ大人数で騒いでるだけだなあ」という印象で、決して進んで音源を聴こうという気持ちにはなりませんでした。

やばい。こんなことを書いたら多分家まで彼らがやってきて拉致られてヤキ入れられて鼻から割りばして簡単な話ですね。
あれ・・・?誰か来たかな・・・?

なんて冗談はさておき。
そんな悪印象をも吹き飛ばすくらい方々でのBAD HOPの音源に対する評価がたかかったので、「どれどれ」と重い腰を上げて聴いたみたわけですよ。

すまんかった!!

めちゃくちゃかっこいいです。
間違いなく新世代ラッパーたちの中では最先端を突っ走っている存在だなと確信しましたとも。
その魅力をリリックとサウンドの両方の側面から語っていきたいと思います。。

<リリック~川崎というバックグラウンド~>

これだけの大人数のクルー。その多くが中学校やそれ以前からの付き合いだというからすごい。
おそらく全員が同じような環境で育ち、そして同じような悪さをしてきた「元不良」たち。
詳しい生い立ちや川崎という環境については上の動画の中で存分に語ってくれています。
ヤクザの父親を持つメンバーがいたり、そういう世界とのつながりを持ったことのあるメンバーもいたり。
ほぼ全員が母子家庭だったり厳しい家庭環境をサバイヴしてきた男たちです。

HIP HOPとは生き方」と#6”Life Style”でT-Pablowがラップしているように、そういった生い立ちを背負ってラップしているのがBAD HOPです。

この作品に収録されている曲ではありませんが、”B.H.G”という曲ではそういった「生き様のリリック」が堪能できる名曲になっています。

というか、この「Bad Hop Episode」シリーズ(全5曲)ではおのおののメンバーが思い思いに自分の身の上話をするという非常に「自伝」的なヒップ・ホップになっています。

それに対して今作の「BAD HOP ALL DAY」では、同じく自分のバックグラウンドを下敷きにはしているものの、自伝ではなくかなり「私小説」的なリリックに仕上がっています。

「自伝」と「私小説」の違いは、「自伝」が自分の生涯を網羅的に綴るのに対し、「私小説」は自分の生活や人生の一側面を切り取って語るという手法をとる点にあります。

#1”3pm”にiPhoneのアラームで目覚めた彼らが#11”6am”まで飲んで騒いでいる、そんな彼らの日常に密着しているような、そんなコンセプトアルバム。
川崎という土地で生まれ育っていろいろな間違いを犯した彼ら。そんな彼らがヒップ・ホップ・ドリームをつかみかけている「今この瞬間」を切り取ったリリックになっています。

そんなミニマルな「私小説」的世界観が発揮されているのが#2”White T-Shirt”です。

白Tについての歌。
でもただそれだけじゃなくて、白Tの周辺もリリックに織り交ぜることによって彼らの哲学も見えてくるという何ともうまいリリックの構成になっています。

この曲に限らずミニマルなテーマ(「生活」がコンセプトのアルバムゆえ)に彼らの「今」の哲学を乗せたリリックがアルバムを通して紡がれていて、一見チャラいけどもしっかりヒップ・ホップしたアルバムになっているのです。
「俺らの音楽はLife Style」ってこういうことなのですよねん。

<サウンド~トレンドの最先端を行く~>
サウンド面もスキが一切ないという彼ら。死角なしですがな。

トラックも最新のトレンドを取り入れたトラップ系のビート。
個人的にお気に入りなのはかなり攻撃的でスロウな#10”Black Out”。

そんな最新のビートに全く引けを取らないラップスキルの高さに脱帽。
これだけ大人数なのに全員同じくらいうまいっていうのはほんとにすごい。

全曲トラックかっこいいしラップかっこいいし。もう無敵なのです。

リリックの時はあんなに熱く語ったのですがこういう音楽的な部分は言語化が非常に難しいですね。

<まとめ>
高校生ラップ選手権に出場してきた世代のラッパーたちの中ではもちろんずば抜けてクオリティが高いし(比べるのもおかしいくらい)、今の日本のヒップ・ホップ界を見渡してもこれほどうまく最新のスタイルを落とし込んでいるのはすごいし、何より彼らのリリックは唯一無二。

見た目のファッションアイコンっぷりも相まって、ニューヒーロー誕生の予感がプンプンします。

年齢なんか関係ない。間違いなく最重要アーティストです。これからに期待しかないです。


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