吉田修一『怒り』

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中央公論新社、310ページ・279ページ
★★★★★

映画・小説それぞれの最適解

これもこれでめちゃくちゃいいです。

<あらすじ>
若い夫婦が自宅で惨殺され、現場には「怒」という血文字が残されていた。犯人は山神一也、二十七歳と判明するが、その行方は杳として知れず捜査は難航していた。そして事件から一年後の夏―。房総の港町で働く槇洋平・愛子親子、大手企業に勤めるゲイの藤田優馬、沖縄の離島で母と暮らす小宮山泉の前に、身元不詳の三人の男が現れた。

吉田修一の本はだいぶ前に「パレード」を読んで以来でした。

映画「怒り」は文句なしの傑作でした。
あれだけ素晴らしいものを見せられるとどうしても原作が気になってしまうということで、この間読んだ朝井リョウ『何者』(映画を明日見に行きます)と同時購入。
上下巻とボリュームはありましたが映画を見ていることもあってかこちらもさらっと読み終えることができました。

原作との大きな相違点は
・刑事・北見とその周辺が映画よりもより詳しく描かれている(特に北見とある女性の関係について)
・最後の犯人が分かる見せ方、そしてその後の描き方が大幅に異なる
という2点です。

上の北見の件については映画のボリュームの関係で単純に割愛されてしまったのだと思うのですが、これはこれでまた味わい深いエピソードです(これもまた「人を信じるとは」という根源的な問いに触れる部分になっている)。犯人を追う側にもこういう葛藤があるんだと描くことによって、小説全体の厚みも増しています。

下記の相違点については、これが小説/文字表現における最適解で、映画のバージョンが映画/映像表現における最適解だなあと読んでて納得しました。
あと映画を見たからなのかもしれませんが、結構早いん段階でこれって犯人絞れてしまわないかい?と思ってしまったのは事実。

でもまあ描かれていることは映画も小説も寸分たがうことなく、優れた小説だなと思うのと同時に、これをあのレベルで映画にしてしまったこともすごいなと思った次第でございます。


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