聲の形

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2016年公開
監督
山田尚子(「映画けいおん!」「たまこラブストーリー」)
出演(声)
入野自由(「千と千尋の神隠し」「言の葉の庭」)
早見沙織(「劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「GANTZ:O」)
悠木碧(「君の名は。」)
ほか
劇場公開中
★★★★★

愛おしい、人間たちの再生の物語

ただただ愛おしい。

<あらすじ>
西宮硝子が転校してきたことで、小学生の石田将也は大嫌いな退屈から逃れる。しかし、硝子とのある出来事のために将也は孤立し、心を閉ざす。5年後、高校生になった将也は、硝子のもとを訪れることにし……。

「君に生きるのを手伝ってほしい」

何度も何度も、この映画を観た感想を文章にしようとしたのですが、うまくいかないし、うまく書ける自信がないから書くこと自体から遠ざかっていました。
が、もうそろそろ書かないと僕の記憶があやふやになってしまうし、話題の鮮度も落ちてしまうので、重い腰を上げてようやくパソコンの前に座ることができています。

2回見ました。
「2回だけ?」と少なく思われるかもしれませんが、僕にとってはこれで十分でした。
1回見て、そのあと1か月ほど時間を空けてから、もう一度。それで、十分でした。
「2回見てこの映画のすべてを理解した」という意味ではありません。2回見て、ようやく物語の中に自分を見つけることができたのかもしれません。
でも、パンフレットも買ったし、サントラも買ったし(牛尾憲輔による音楽がとにかく素晴らしい)、おそらく映像ソフトが出たら買って何回でも見る。一生見る。そういう映画になりそうです。
自分を重ね合わせてものすごく感動したという意味ではこれも今年の作品ですが「シング・ストリート」と肩を並べるくらいの作品だと思います。

もうね、これはね、全人類、いやそれは言い過ぎた、全日本人が見るべき映画なんですよ。
物語上「いじめ」や「障碍者」がテーマになっていると思われがちですが、そんなことはありません。これは、各々欠点を抱えた少年少女たちが衝突しながらもお互いに認め合っていく物語なのです。
「いじめ」「障害」というのはあくまでこの物語を構成する「部分」でしかありません。
もちろん、これら二つの問題は真剣に取り組まなければならないテーマですが、この映画を見たところでその辺の解決には一切ならないことを先に言っておきます。
(これら二つがテーマだとしたらヒロインの西宮硝子は可愛すぎる。「だったら不細工だったらこうはならなかったじゃんないか」という逆差別にもなりかねない。この問題はこの映画で描かれている問題よりもはるかに解決が難しいし、解決法なんかわからない)

内容の話をうんぬんする前に、映画の外側の部分のお話をしましょうか。

画がきれいですね!!さすが京アニ(アニメは全くの素人)。
もちろん「君の名は。」もすごかったんですが、この映画も全然負けてない。というか勝ってるとさえ思います。
ところどころで挿入される季節の花々、あの花火大会の風景、遊園地のシーン・・・などなど、どこを切り取っても印象的なシーンだらけ。
そして何よりもキャラクターの躍動感ですよね。永束のようにきわめてアニメ的に誇張されたキャラクターでさえあれほど生き生きとしていて、「そこにいる」感がすごい。もちろんヒロインの西宮硝子のかわいらしさは悶絶もの。

そして、「聴覚障害」というものを扱う映画だからなのかもしれませんが、とにかく音響が素晴らしい。
牛尾憲輔による音楽が良すぎるという話は何回しても足りなくらいです。映画のサントラ勝ったの初めて。
でもそれ以外にも、セリフの音響も素晴らしくて。
特に前半の小学校のシーンはほんとによかった。石田が硝子に「わっ!!」と大声で叫び、教室中の生徒がびっくりし、そのあとに静まるというシーンや、担任の先生が「石田ぁ!!」と叫び黒板をたたくシーンなど、何がすごいのか技術的なことはよくわからないのですが、とにかく臨場感があって、軽く小学校時代のトラウマを思い出すレベルでリアルでした。すごくよくできてる。
牛尾憲輔の音楽に関してはこのインタビューが異常なまでの読み応えだったのであげておきますね(インタビュー)。

他にも、「うつむいている視線」の描写とか、「話せない人間の顔には×印がついている」とか、「飛び込む」という行為が何度も象徴的に描かれているとか、見た目だけの話で十分5億点出てる映画なのですが、この映画のものすごいところは内容も5億点というところ。

これだけ多くのキャラクターを出しておきながら、誰のことも無視しないで全員に物語を持たせるというすごさ。
一人だけ、真柴というキャラクターだけちょっと残念な感じになっちゃってますが、他は出てくる全員にストーリーがある。
一人一人を切り取っても映画として成立するくらいです。

でも、本来人生ってそういうものだよね!みんなそれぞれに人生があって、その一つ一つがかけがえのない物語だよね!という当たり前のことに気づかされましたし、見ているうちに誰もが誰かに自分を重ね合わせて見ると思う。
それぞれが持っている欠点を、そして自分の持っている欠点を、嫌うんじゃなくて愛し、認めていく。そうしていくきっかけにこの映画がなればいいなと思います。
なんだか月並みな着地ですが、これこそこの映画が伝えたかったことです。だからマジで全人類見てくれ。

原作読んではいるけどだいぶ前なので全然覚えてない。もう一回読みたい!!

<そのほか気づいたこと>
・硝子の補聴器が途中から一個だけになっている
途中で病院に行って泣きじゃくるシーンがあるので、この時には片方の耳の聴力が完全に失われているのではないでしょうか。

・この物語の舞台
舞台となっている岐阜県大垣市は、第9回高校生ラップ選手権の優勝者にして、このブログでもデビューEP「AUTOMATIC FUN」を取り上げたラッパー・裂固の地元でもあります。

・タイトルの意味
この映画の一番最初に現れる文字は「聲の形」の英訳である「Shape Of Vocie」ではなく、「光の音」という意味である「Sound Of Light」。この二つにはどういう関係があるのか・・・まだわからない中。

・モヤモヤ
映画の最初と最後で結構長いこと流れる暗闇の中で白い光が蠢いているカット。あれに意味がないわけがないと思うのですが・・・。ひょっとして僕がバカすぎるのでしょうか。全然意味が解らずじまいでした。モヤモヤします。


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