STUTS / Pushin'

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1st、2016年、日本
ヒップ・ホップ
★★★★★

無類の愛が生み出した大傑作

才能よりも努力よりも、まず最初に音楽に対する「愛」を感じる作品でした。

<まずこの一曲!>
#2”Renaissance Beat”

間違いなく上がるメチャメチャいけてる!ビート。

彼の存在を知ったのはこの動画でした。めちゃくちゃにわかな感じがしますが。笑

バトルではどうしても脇役になってしまいがちなビートについて「このビートめちゃくちゃかっこいいやんけ!」と思わせてくるあたりはさすがですよね。"証言"や"AREA AREA"などのクラシックでもないのにここまで観客の心をつかむビートってそうそうないと思います。

ではまずこのSTUTSという人物について軽く紹介します。
1989年生まれだそうです。これまでに多くのアーティスト(このアルバムに参加している面々が多い)に楽曲提供しているトラックメイカーです。
主にMPCを使用することで知られていて、2013年にはNYのハーレムでストリートライブを行った動画が話題になったそうな。
今回のアルバムは2~3年前から構想を練りながら曲をためていたそうで、本人としては「やっとできた」という印象だそう。

今回のアルバムは14曲収録で、そのうちインスト曲が半分の7曲。
そうでない曲にはすべてゲストが参加していて、その面々がまた豪華なんだなこれが。
この間アルバムを紹介したばかりのCampanellaFla$hbacksからjjjKID FRESINO、そしてK.Lee呂布カルマの「ザ*どストライクス」のユニット、ヒップ・ホップ界隈とのコラボが多いシンガーCHIYORI、ちょっとヘンテコな音楽性で知られる(らしい)Alfred Beach Sandal、言わずと知れた天才PUNPEE、そして今までも共作経験が豊富なKMCという顔ぶれ。

まず驚いたのが、ラップだけではなくて歌モノもめちゃくちゃいいということ。
CHIYORIが参加する#8"Special Day"、そしてAlfred Beach Sandalが参加している#10"Sail Away"の2曲が歌モノなのですが、この2曲がまーとにかくいい。

彼の中にある抜群のポップセンスが爆発しています。そのうちもっと大物シンガーに楽曲提供・・・なんてことがあるかもしれません。tofubeatsみたいに。

そしてラップ曲について。
これも間違いないです。だってゲスト陣の顔ぶれを見たら間違えるはずがないですよね。
その中でもこれはかなりキラーチューンの雰囲気を放っています。

イントロでサンプリングされているのは映画「パルプ・フィクション」でサミュエル・L・ジャクソンが旧約聖書からの引用だとして人を殺す前に暗唱するセリフですね。
これが実在しない聖書の一節で、千葉真一の映画からの引用だというのはよく知られた話。

K.Leeと呂布カルマがファストで賑やかなトラック上で好き放題する#6"Called Game"もめちゃくちゃかっこいいし、やっぱりjjjはかっこいいということで#4"Shadow"もよい。

でもやっぱり最後の2曲が良すぎるんだよなぁ。
まずPUNPEEが参加している#13”夜を使い果たして”。まずタイトルがいい。

SMAPの曲サンプリングしてるらしいよ」って言われたら信じてしまいそうな純然たるポップミュージック然としたトラック。PUNPEEとの相性がバツグンです。
数々の名曲からのサンプリングを効果的に使用しヒップ・ホップ愛を示しながらも「夜を使い果たして/誰かの夢もまた行方不明」などというすげえグッとくるラインも履いてきながらも「夜を使い果たそう/太極拳の爺がむくり起きるその前に」というユーモアも忘れない。
PUNPEEはこのごちゃまぜ加減こそヒップ・ホップだということを知っているんですね。あー天才。

そして最後を飾るのはKMCが参加する#14"Rock The Bells"
このラッパー、とにかく熱いですね。声の熱量とリリックの熱量が両方同じくらいヤバイ。
だけど今も同じ空の下の世界中のありとあらゆる街で/ペンとマイクに思いを託して、同じ夢を見ている奴らがいる/言葉は違っても響くRhymeとFlow、Universal LanguageそれがHIP HOP
熱いですねえ。
STUTSとはほぼ盟友といった感じで曲をたくさん作ってきたみたいです。アルバムも術ノ穴から何枚か出してるみたいなので聴いてみたいですね。

インスト曲についてはこれぞSTUTSの真髄といった感じで、MPCだけでここまでやれるのか、という驚きと純粋にいい音楽を聴く楽しみが両立している曲ばかりです。
もうね、やっぱりセンスがいいんでしょうね。

とにかくヒップ・ホップ愛、音楽愛、MPC愛を感じる素晴らしいアルバムでした。
MPCを演奏するときの彼の何とも形容しがたい「泣きそう顔」を見たら、もう手放しでほめちゃうもんね。


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