SKY-HI×SALU / Say Hello To My Minions

sayhellotomyminions.jpg
1st、2016年、日本
ヒップ・ホップ
★★★★★

間違いない二人が作り上げた「啓蒙」のアルバム

アツすぎる。アツすぎるぞ。

<まずこの一曲!>
#8”Sleep Walking”

他のみんな起こすのは / 起こせるのは / 君だ

SKY-HIは1月に「カタルシス」を、SALUは4月に「Good Morning」をそれぞれリリースしていて、それぞれすごくいいアルバムでした。これにAKLOの「Outside The Frame」を加えて日本の10年代ヒップ・ホップを牽引する3人が揃い踏みした1年とも言えるでしょう。ほんとにいいアルバムなんだよ全部。

中でもSKY-HIのフットワークの軽さには目を見張るものがあります。なんか今年はずっと曲出していたイメージ。最近ではKEN  THE 390の"Turn Up"にT-PABLOWとともに客演で参加してやばすぎるヴァース蹴ってます。
ホントこの1年での日本のヒップ・ホップへの貢献度がすごい。

そんな彼が次なる手として動き出したのがこのSALUとのコラボアルバム。
もともと公私ともに親しく、こういう対談企画とかやってるし、ラジオでも何度も共演。


メジャーだから潤沢にお金使えるからっていうのもあるんですが、ちょっとこのリリースペースの速さは異常としか言いようがないですね。
作る速さがすごい。このアルバムも数日間で作ったらしいし。プロだ。

このアルバムを作るにあたって彼ら二人にあったのは危機感だそうで。
「かっこいいラップが少ないと感じていた」と方々のインタビューで答えています。
これだけラップが世の中に浸透していた2016年にあって、その質が下がっていることにこの鬼才二人はいち早く気がついていたようです。
それならば、そんな世の中のお手本になるようなアルバムを作ろう。そういう「啓蒙」の意識の下このアルバムは制作されたようです。

だったらこのアルバムにボースティングが多いのも納得。
SKY-HIはもともとボースティングを多用するラッパーですが、SALUがそういうタイプのラップをするのは珍しいです。
ボースティングもそうですし、ディスともとれる攻撃的なリリックが両者ともに多いのも特徴。
「カッコよさ」を追求した結果たどり着いたのでしょう。もちろん生半可な覚悟で書けるようなリリックじゃないし、確固たる自信と実力があるからこそできる技です。

そして何よりこの二人のチームワークがバツグン。
コラボアルバムなので、どっちかがどっちかを食っちゃってもダメだし、本人たちも言っているように「客演みたい」ってなったらだめで、完全に50:50のパワーバランスでアルバムを作り上げなきゃいけない。
でもこんな難しい課題すらもサラっとやってのけるあたりやっぱすげえ。
もともとスタイルが違う二人だけにうまくカブらず、それでいてうまくかみ合っている。

リリックも楽しみながら書いたのが伝わってくるような「掛け合い」が多く、聴いているこっち側も楽しい。
例えば#1"Say Hello To My Minions"ではMummy-Dよろしく人名を多用したラップ。先輩たちのラインとかもサンプリングしてるし、彼らのIQの高さがうかがえます。

#2"Purple Haze"では1ヴァース目でSALUが「何倍目の紅茶」と言えばSKY-HIが2ヴァース目で「ぬるく冷めたコーヒー」と返す。
#3"No Chill"ではSALUが「法定速度じゃ追い抜かれる」といえばSKY-HIが「歩くだけでひっかかるオービス」と返す。
チームワークがすごいなあ。

9曲入り32分とコンパクトな作品ですがリリックの密度がこのようにすんごいのでちゃんとヤラれます。

中でも飛び抜けている曲が2曲。#2”Purple Haze”と#9"運命論”。この二曲がずば抜けて「かっこいい」。

このアルバムができた経緯を踏まえてあえてこう形容させてもらいます。
作品を最初に一通り聞いた時に耳に残るのはこの2曲でしょう。2曲ともフックのメロディがいいっていうのも強い。ラップの「聞こえ」がとにかくかっこいい。内容も素晴らしいのだけれども。

#6"H.Y.P.E."のなかでSKY-HIが言っているように、「サブカルブーム / フリースタイルブーム / んでHIP HOP自体の季節は未だに冬」というような、そんな時期にこの二人がこういうアルバムを作っていくれたのはすごく価値があることです。
彼らの鳴らした警鐘を、受け止めて継承するプレイヤー/リスナーが増えることを願います。



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