SKY-HI / OLIVE

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3rd、2017年、日本
ヒップ・ホップ / ポップ



<アルバム紹介>
男女混合アイドルグループAAAの一員としても活動するラッパーSKY-HIのソロでは3枚目となるアルバム。去年はアルバム「カタルシス」の発表から始まり、コンスタントなシングルリリースや全国ツアーに加え、SALUとのコラボアルバム「Say Hello To My Minions」のリリースなど、精力的な活動を続けていた彼ですが、休むことなく次のフルアルバムを完成させてきた。

去年の今頃もSKY-HIのアルバムを聴いていたわけですが。
この一年を経て、僕の中での彼の認識は「本格的なラップ活動もしているアイドル」から「日本のヒップ・ホップ界の重要人物」に変わりました。
それは僕自身の考えの変化もあると思うけど、何よりも彼の行動一つ一つが変えてきたものだと思うし、僕が思っていることはシーン全体の総意だと思いたい。
間違いなく彼はいま高い次元の表現者で、日本のヒップ・ホップシーンを誰よりもよく考えている人物の一人である。

前作「カタルシス」は「語る死す」というタイトルが示すようにかなり内省的な内容だったのに対し、この作品はとにかくポジティヴなバイヴスがみなぎった作品になっている。「OLIVE」は「LIVE」であり「I LOVE」である。
ホーンセクションをはじめとしたアコースティックなライブ感あふれるトラックに弾むような切れ味のある彼らしいラップ、そして爽やかなメロディ。踊れて楽器も弾ける彼はまるで日本のBruno Marsと形容したくなるような才能で満ち溢れている。それはこのアルバムを聴けばすぐにわかることだ。

音楽をとにかく浴びるように聴き始めてからというもの、「全曲、曲順まで覚えてしまうようなアルバム」というのは少なくなった。
思春期に聴いていたアルバムというのは(10代という何でも吸収してしまう年ごろというのもあるが)気に入ったものは曲順から歌詞の一語一句まで覚えてしまったものだ。
でも年間100枚を超えるような作品を毎日とにかく聞き始めるようになってからはそういう作品というのは年に1,2枚あればいい方だ。
でも、彼の中でじっくり寝られたアルバムの構成なのか、それとも曲のクオリティが素晴らしいからなのか、この作品はその選ばれしアルバムの仲間入りを果たした。

アルバム全体の雰囲気は、前作のようながつがつとした彼のアティチュードのラップが聴きたいという人には物足りないかもしれないけれど、それでも"Walking On The Water"ではキレキレのラップをしてくれている。

"不確かな立場を交わらせたのはこの歌詞だ"

スキルフルなフロウのなかでバチーンと決まっているこのパンチライン。はっきり言って一生モノのラインだと思う。
「アイドルラッパー」と揶揄されることもあっただろう(今ではそんなこと言うだけ野暮だ)彼が丘の上で一人、「サバンナの王」たるライオンとして挙げる咆哮のような、気高さとプライドに満ち溢れた最強の「歌詞」だ。

この直後に続く"生きてるだけで日々ボースティング"というのは昨年末のKEN THE 390との共演曲"Turn Up"でも言っていたことだけれども、こういうボースティングによって、彼は僕たち「パンピー」の苦しみ、もがき、哀しみというものをすべて肯定してくれている、いや引き受けてくれているような気がしてならない。
俺は最強なんだ、だから全部俺に預けろ。そういうちょっと乱暴だけれども頼りがいのあるお兄さんのような、温かみのあるボースティング。それこそが彼の持ち味だ。

”明日晴れたら”はゆったりとしたイントロから、アップテンポでとにかく爽やかなメロディが響き渡る個人的ハイライトソング。

きみが語る夢に色を付けよう

というラインの裏側には前作「カタルシス」を感じずにはいられない。
他にももっとたくさんの細かい仕掛けがあるんだろうけども、それは聴いていくうちに気がついていけばいい。どうせあと2万回は聴くのだから。


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